18歳の高校生や学校現場は戸惑っているにちがいない。もはや、怒りまくるべき状況だとおもう。

公職選挙法改正で選挙権年齢が「18歳以上」に引き上げられたことを受けて、主権者教育の進め方を話し合う文部科学省(文科省)の検討チームが3月31日、中間報告をまとめた。そこで、高校と選挙管理委員会が連携して模擬投票を積極的に実施するように促している。「若年層の政治的感心や投票率の向上が狙い」(『日本経済新聞』電子版3月31日)で、文科省としては若年層に政治に関心をもってもらう方針のように読み取れる。

ところが、その一方で文科省は、若年層の政治活動を封じ込めるのに必死になっているのだ。昨年10月、文科省は「高等学校等における政治的教養の教育と高等学校等の生徒による政治的活動等について(通知)」を都道府県教育委員会などに向けてだしていた。高校生が校外で行う政治活動などは容認するが、校内では禁止するといった内容である。

しかし、あまりにも奥歯に物がはさまったような言い回しに、「分かりにくい」という声があったということで、今年2月には、この通知に関する「Q&A」をだした。「分かりにくさの解消」を理由にしているようだが、内容を読んでみれば、「高校生の政治活動を規制する」ことの念押しでしかない。

たとえば放課後、休日に高校生が校外で政治活動の届出制について「Q&A」は、「当該生徒が判断し行うもの」としながらも、「高等学校の達成度の観点から必要かつ合理的な範囲で制約を受けるものと解されます」としている。「届出制にして制約しろ」と言っているのだ。

これを従って、なのか、今年3月愛媛県の全県立高校が、新年度から校則を改定して、校外の政治活動に参加する生徒に、学校への事前届け出を義務化する方向に動いている。それに先だって県教育委員会が校則の変更例を示しているのだが、「校則変更の指示はしておらず、あくまで参考資料」と弁明しているという。自らの責任は回避する常套手段である。

それは文科省も同じで、「制約しろ」とは明言しないながらも、暗に強制している。「Q&A」のようなかたちで念押しまでしてくるのだ。

それでいて、今回の中間報告に示されるように、「選挙に行きましょう」という指導を強化しようとしている。政治活動を禁じながら、最大の政治活動である投票は促しているわけだ。これほどの矛盾はない。校外での政治活動を届出制にさせようとするのなら、投票も届出制にしようというのだろうか。それは選挙権を侵害するものでしかない。

こんな矛盾だらけの投票権を認められても、18歳の高校生は戸惑うばかりだろう。責任は転嫁されながら制約の強制を求められている学校現場も、同じく戸惑うしかない。

文科省が「まともな選挙」を望んでいるようにはおもえない。18歳の高校生に選挙権が認められたことは、当の高校生にしてみれば迷惑だけなのかもしれない。