軍需に走るほど日本の産業力は劣化している

日本の主力産業が「武器」になるかもしれない。

「日本、インド両政府は両国の防衛秘密をやりとりするための情報保護協定を締結する方針だ」と、12月2日付『日本経済新聞』の夕刊が伝えている。その理由を同記事は、「装備品の性能など秘密情報の厳しい管理を義務づける枠組みを整え、日本製の装備品のインドへの輸出を後押しする」と解説している。

武器は、かなり儲かる商品らしい。アメリカやロシアが「援助」という名でかなりの武器を輸出しているが、もちろん、それをメーカーが無償で援助しているわけではない。メーカーは当然の利益を得ている。

援助でなくても、正規の代金を支払って武器を購入している国も多い。日本もそのひとつで、戦闘機をはじめとする軍用機の大半は輸入である。戦後の長いあいだ、軍国主義を封じるという名目でアメリカは日本に航空機開発を禁じてきた。裏を返せば、儲かるビジネス・チャンスを失いたくなかっただけのことだ。

そして今、日本はインドという市場に武器を輸出しようとしている。インドだけでなく、武器輸出を産業の柱のひとつにしようとする動きが目立っている。

これで日本もアメリカやロシアと肩を並べることになったか、と評価する向きもあるかもしれない。しかし、まるで逆である。

日本は戦後の経済発展を、軍需ではなく民需で実現してきた。その路線を捨てようとしているのである。民需では経済を維持できなくなっている事実を、軍需を拡大することで覆い隠そうとしている。これまで世界に誇ってきた産業力を維持できなくなっていることを隠しおおせできなくなった、といっていい。

軍需でごまかすことしかできなくなっている日本の産業力、経済力の現実を、根本的に問い直すときにきているのかもしれない。