少し肌寒くなってきて、「涼しくなってきたら鼻水が出るようになった」という話を聞くことが増えてきました。

涼しくなると鼻水が出るのはなぜでしょうか。

まず「そもそもなぜ鼻水が出るのか」ということから考えてみます。

実は鼻水は常に出ていて、鼻の中をきれいにしています。一日に1リットルもの鼻水が作られているともいわれます(※1)。ですから、鼻水自体は生理的(あって当たり前)のものといえます。

※1 あたらしい耳鼻咽喉科・頭頸部外科学 中山書店 p.169

もちろん、増えすぎた鼻水は病的なもので、鼻の奥に流れる(後鼻漏)状態になったりもします。また、ねばねばの鼻水や黄色い膿のような鼻水はとくに生活上も障害になります。

鼻水の出る仕組み、寒暖差アレルギーとは??

鼻に温度などの刺激が入ると鼻水が出ます。これは鼻の粘膜になにか刺激を受けたことを感知して神経で脳に伝わり、異物を排出させる防御反応のために鼻水が出たということです。

よく言われる「寒暖差アレルギー」はこういう神経の反応によるもので、医学的には本態性鼻炎や血管運動性鼻炎と呼ばれます。これについては以前の記事でも述べましたが、アレルギーではありません。鼻に例えば冷たい空気のような刺激が入って、その刺激に対する反応として鼻水が出るということです。他にも光刺激などほかの刺激で鼻水が出るという方もいます。本態性鼻炎(寒暖差アレルギー)の治療については難しい部分もあります。まずは鼻に刺激を入れないようにしておくのがいいでしょう。最近は皆さん新型コロナウイルス感染症対策でマスクをしていますから、それだけでもかなり効果があると思います。投薬については決定的なものはありませんが、アレルギー性鼻炎と共通するものを試すこともあります。

アレルギー性鼻炎も秋に悪くなる方がいます

アレルギー性鼻炎は秋口に悪くなる方がいます。秋の花粉症というのを聞いたことがあるでしょうか。たとえば、ブタクサやヨモギは秋の花粉症を起こします。これらはキク科の植物で、雑草として公園や町の草むらに生息しています。さらに、ダニのアレルギーの方は秋に悪くなることが知られています(※2)。なぜなら、夏に増えたダニが死骸となって舞い上がってしまうためです。ダニは死骸になってもアレルゲンとして働くために、秋に悪くなってしまうのです。毎年秋に悪くなるという方でアレルギー性鼻炎を抱えている方は、アレルギー性鼻炎として投薬などの治療を受けることで改善が期待できます。

※2 アレルギー 2021, 70(3) p.186-194

もちろん、他にもさまざまな原因で鼻水は出ます。通常よく見られるのは感染性のものです。通常の鼻風邪もそうですし、インフルエンザもそうですし、新型コロナもそうです。鼻かぜなどの呼吸器感染症自体が冬に向かって増えていくことは広く知られています。

他にも、妊娠に伴って鼻炎になるとか、薬のために鼻水が出るとかそういったものがあります。薬による鼻炎で最も有名なのは、血管収縮作用のある点鼻薬です。シュッとスプレーしたらすぐに鼻が通るような点鼻薬の多くは、こういうタイプのものです。血管を収縮させて、鼻の粘膜も収縮するために鼻がすぐに通るのです。このタイプは使用を継続することで逆に鼻づまりや鼻水の原因となったりしますので、連用は避けた方がよいでしょう。医師が長期的に処方する点鼻薬の多くは鼻噴霧ステロイド薬で、こちらの方は連用による副作用はまれです。(以前の記事でもご紹介しました。)他にも向精神薬や経口避妊薬などで起こることがあるのが知られています。

点鼻薬の種類によっては連用で鼻づまりや鼻水の原因となることも…
点鼻薬の種類によっては連用で鼻づまりや鼻水の原因となることも…提供:Kei/イメージマート

鼻水の種類から原因を推察できる?

ときどき、「鼻水の性状から病気を推察することはできますか?」ということを聞かれることがあります。ある程度は可能です。たとえば、本態性鼻炎(寒暖差アレルギー)ではさらさらの鼻水が出ますし、アレルギー性鼻炎もさらさらの鼻水が出ることが多いです。一方で、副鼻腔炎ではいわゆる黄色い鼻水(医学的には膿性鼻漏といいます)が典型的です。場合によってはねばねばの鼻水が出てくるということもあります。さらさらの鼻水が出てくるということはあまりありません。他にも副鼻腔炎の場合には、くさいにおいがしたり、逆ににおいがわかりにくくなったり、顔や頭が痛くなったりするという症状が出てくることも多く見られます。もちろんきちんと診断するためには医師による診察が必要です。

冬に向かって鼻かぜや副鼻腔炎が増えてきますし、鼻水でお困りであれば耳鼻咽喉科でご相談ください。