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ノート(197) なぜ郵便不正事件を巡る国賠訴訟で国は請求を認諾したのか?

前田恒彦元特捜部主任検事
(写真:アフロ)

~尋問編(3)

受刑176/384日目

似ていない「似顔絵」

 前日の夕刊やこの日の朝刊では、前日の10月18日に大阪地裁で行われた証人尋問について報じられていた。証言のポイント部分に力点が置かれていたものの、黒色ジャージ上下の服装を含め、かなり詳しく正確に報道されており、傍聴席で取材をしていた記者の集中力や再現力の高さに驚かされた。

 元上司に対する複雑な思いを吐露した場面や感極まって涙ながらに証言したことなどにも言及されており、記者らは元上司に告白したという証言に信用性があると考えているものと思われた。

 残念だったのは、「似顔絵」が全く似ていなかったことだ。マスコミ各社に依頼された「法廷画家」が傍聴席の前方に座り、法廷内の様子を描いたものだ。裁判中は写真や動画の撮影が禁止されているので、その代替となっている。

 ただ、入退廷時などにチラリと被告人や証人の横顔が垣間見えるだけで、尋問中は後ろ姿を眺めているわけだし、原稿の締め切り時間との関係でスピードも要求される。似ていなくても致し方がない事情もあるが、本人からすると「さすがにこれは酷すぎる」と言いたくなるスケッチも現にある。

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元特捜部主任検事

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。

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