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アミメニシキヘビの逃走事件から4ヶ月 元飼い主の刑事処分はどうなったか【追記あり】

前田恒彦元特捜部主任検事
(写真:RewSite/イメージマート)

 横浜のアパートからアミメニシキヘビが逃走して大騒ぎになり、屋根裏で発見、捕獲された事件から4ヶ月。その後、飼い主だった男性の刑事処分やヘビの行方はどうなったか――。

「特定動物」にあたる

 結論から言うと、男性は6月に動物愛護法違反で在宅のまま送致され、9月7日に横浜区検によって略式起訴されている。市の許可を受けずに飼育ケージを変更したという容疑だ。ヘビが大きくなったため、鍵が付いたスライド式のガラス製のものから、簡易式の鍵が付いた木製のものに変えたという。

 昨年6月の動物愛護法改正により、人の生命や身体、財産に害を加えるおそれがあるアミメニシキヘビのような「特定動物」は愛玩目的で飼育できなくなった。しかし、それ以前から許可を得て飼育していれば、期限ごとに再申請して許可を受けることで、引き続き飼育できる。

 男性もこのパターンだったが、ケージのような飼養施設を変更する際には、改めて市にその旨の申請をし、許可を受けなければならない。無断で変更したら、最高で懲役6ヶ月、罰金だと100万円以下に処される決まりだ。

民事の損害賠償責任も

 男性は「申請が面倒だった。家の中なのでバレないと思った」などと供述し、容疑を認めているという。略式起訴だから懲役はなく、罰金刑になる。検察の求刑額は明らかにされていないが、過去の類似事件からすると、数十万円程度になるのではないか。

 男性はペット禁止のアパートで危険なアミメニシキヘビを飼育し、鍵のかけ忘れという重大な過失で逃走を招き、住民に不安や恐怖を与えたが、死傷の結果までは生じさせておらず、この点については刑事責任を問われていない。とはいえ、民事的な損害賠償責任は免れないだろう。

 なお、捕獲されたヘビだが、いったん動物園に保護されたあと、飼育許可を有する茨城のペットショップに引き取られたという。(了)

【追記】

 横浜簡裁は9日、男性に対して罰金30万円の略式命令を言い渡した。

元特捜部主任検事

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。

元特捜部主任検事の被疑者ノート

税込1,100円/月初月無料投稿頻度:月3回程度(不定期)

15年間の現職中、特捜部に所属すること9年。重要供述を引き出す「割り屋」として数々の著名事件で関係者の取調べを担当し、捜査を取りまとめる主任検事を務めた。のみならず、逆に自ら取調べを受け、訴追され、服役し、証人として証言するといった特異な経験もした。証拠改ざん事件による電撃逮捕から5年。当時連日記載していた日誌に基づき、捜査や刑事裁判、拘置所や刑務所の裏の裏を独自の視点でリアルに示す。

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