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ノート(185) 「記憶の植え付け」に終始した総連事件の証人テスト

前田恒彦元特捜部主任検事
(写真:アフロ)

~工場編(13)

受刑98/384日目

南海トラフ地震の恐怖

 未明にギシギシという音を立て、舎房が縦横に大きく揺れるほどの地震があった。落ち着いてきたところで職員が廊下を駆け回り、各居室に異常がないかチェックしていたが、しばらくすると「問題なし」という放送があった。

 想定される最大クラスの南海トラフ地震が発生した場合、静岡は震度7になる可能性がある上、太平洋沿岸の広い地域に10mを超える大津波の襲来が想定される。

 刑務所は相当頑丈にできているが、南海トラフ地震クラスの巨大地震があれば終わりだ。受刑者は、夜間に地震で舎房が大きく揺れると、そのまま潰れて死んでしまうのではないかとゾッとしている。

受刑100/384日目

検察が行ってきた証人テストの一端

 その後の水曜、木曜と、この2日間は、午前10時ころから夕方までの間、東京高検の和田澄男検事による取調べを受けた。

 翌週の火曜に東京高裁で予定されていた総連事件の証人尋問に先立ち、「証人テスト」と呼ばれる打ち合わせを行うためだった。

 関係者の供述が立証の柱となっているような事件では、検察も特に証人テストに気を使う。

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元特捜部主任検事

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。

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