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ディオバン事件で3タテ喫した検察 引き返す勇気はどこに?

前田恒彦元特捜部主任検事
(写真:ロイター/アフロ)

 旧薬事法違反の成否が争われたディオバン事件で、最高裁は検察の上告を棄却した。元社員らの無罪が確定する。一審、控訴審に続いて検察が3タテを喫した形であり、特捜部が手掛けた事件としては異例の事態だ。

検察「丸投げ」の厚労省

 発端は、2012年から13年にかけ、製薬会社ノバルティスファーマ社の降圧剤ディオバンに関するデータ改ざんが明るみに出たことだ。報道は過熱し、厚労省も異例の措置として旧薬事法の誇大広告罪で調査せざるを得なくなった。しかし、厚労省は誰が実行犯なのかすら特定できず、2014年、こともあろうに「氏名不詳の行為者」をノバ社ともども刑事告発した。

 新薬承認後の臨床研究に関する不正であり、旧薬事法の規制の不備を突いた面があったが、製薬会社の資金提供に基づく研究だし、その結果も医師へのPR材料となっているわけで、厚労省が何らかの形でチェックできるシステムを構築しておくべきだった。厚労省に対する批判をかわすため、事実関係の調査や犯罪成立要件の検討を怠り、事態の後始末を検察に「丸投げ」したと言わざるを得ない。

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元特捜部主任検事

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。

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