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ノート(176) 差入れ本に対する検査のポイントと実際の違反例

前田恒彦元特捜部主任検事
(写真:アフロ)

~工場編(4)

受刑66/384日目

差入れ本はダブルチェック

 図書計算工場への配役から10日となり、少しずつ作業にも慣れ、差入れ本の検査も担当するようになった。

 作業の内容は携入本とおおむね同じだが、差入れ本の場合は家族や友人、知人ら外部から持ち込まれたものだけに特に神経を使う。凶器となる危険物や、薬物、タバコなどが隠匿されていたり、手紙だと検閲にひっかかるような極秘のメッセージ文が記されている可能性があるからだ。

 そこで、官本や携入本だと1人の図書工が1冊の本を全て1人でチェックするのに対し、差入れ本の場合は検査工程を二段階に分け、それぞれ別の図書工が担当することで、ダブルチェックするシステムとなっていた。

背表紙には要注意

 具体的な流れだが、差入れ本は、平日の日中に差入れ担当の窓口や検閲を行う教育部門を経て図書計算工場に大量に回ってくる。土日祝日にも郵送や宅配便で届くから、連休あけだと数百冊に上る。

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元特捜部主任検事

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。

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