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ノート(175) 突然届いた東京高裁からの召喚状

前田恒彦元特捜部主任検事
(写真:アフロ)

~工場編(3)

受刑59/384日目

NHK番組が教材に

 第4金曜日であるこの日は、工場に配役されて初めてとなる教育的指導日だった。刑務作業が免除され、居室内で教材に基づいて感想文などを書くというものだ。

 この日に放送された録音教材は「心の叫び『母の死を目のあたりにした少年』」というタイトルのもので、小学2年の少年が学校から帰宅した際、包丁で刺されて死亡している母親の姿を目撃してしまったという話だった。

 少年は父親や祖母と暮らす中で気丈に振る舞いながらもチック症になるなどトラウマを抱え、父親の帰宅が少しでも遅くなると父親の身にも何かあったのではないかと不安を口にしているという。

 こうした録音教材を聞くことで、被害者やその遺族の置かれた状況に思いを致すというのが狙いだった。このほか、「健康ミニ情報」や「ストレスについて」といった録音教材も放送された。

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元特捜部主任検事

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。

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