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医薬品卸談合に特捜のメス 2年に1度の独禁法捜査、今後の展開は

前田恒彦元特捜部主任検事
(写真:GYRO PHOTOGRAPHY/アフロイメージマート)

 地域医療機能推進機構の入札をめぐり、医薬品卸大手4社が談合に及んだとされる独占禁止法違反事件。2019年11月から公正取引委員会が調査を行っていたが、いよいよ特捜部も起訴に向けて本格的に動き出した。

談合罪との違いは?

 では、刑法の談合罪との違いはどこにあるのか。今後の展開とも関連する話だ。すなわち、談合罪は、あくまで個々の発注業務や工事などを対象としている。1つの発注業務の入札で談合が行われれば、それだけで犯罪だ。

 しかし、独禁法違反は「一定の取引分野における不当な取引制限」が要件となっている。個々の発注業務ではなく、年間を通じた一大プロジェクトのように広範囲の取引について、業者間で包括的に落札業者などを割り振るという「合意」の存在がポイントとなる。

 独禁法違反のほうが悪質だから、最高刑も談合罪の懲役3年・罰金250万円に比べ、懲役5年・罰金500万円と重い。しかも、談合罪による処罰は担当者ら個人に限られるが、独禁法違反だと法人にも最高5億円の罰金が科される。法人の代表者に最高500万円の罰金を科すことも可能だ。加えて法人には課徴金という行政罰まである。

「自首」の見返りあり

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元特捜部主任検事

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。

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