申請サイトに接続不能の持続化給付金 なりすまし詐欺に要注意、経産省も対処を急げ

(写真:西村尚己/アフロ)

 持続化給付金の申請サイトから「申請する」をクリックして手続を進めると、途中で弾かれて接続不能となり、申請できない状態が続いているという。こうした事態で懸念されるのは、経産省を装う「なりすまし詐欺」だ。

アクセス殺到

 すなわち、専用の申請サイトには、5月1日の申請開始と同時にアクセスが殺到している。

 この結果、トップページから手続を進めたものの、仮登録から本登録できているのか不明だとか、登録IDとパスワードが合致しているはずなのにログインできないとか、メンテナンス画面が出て前に進めないなど、サーバーダウンの事象が多数報告されているところだ。

 急場のシステム設計だけに予想された事態ではあるが、典型的なお役所仕事にほかならない。これでは、本当に必要な事業者のもとに必要な給付金が届かないことになる。

 経産省には、サーバーの復旧や強化のほか、法人と個人事業主ごと、本店所在地ごとに細かく申請サイトを分け、アクセスを分散させるなど、一刻も早い対処が求められる。予算が十分にあるのであれば、その点を繰り返しPRしておかなければならない。

 申請者も、焦らず落ち着き、時間を置いて申請するといった姿勢が必要だ。

必ず登場する便乗詐欺

 とはいえ、今回の持続化給付金は、支給要件がかなり広範だ。該当する法人や個人事業主は膨大な数にのぼるだろう。新型コロナ騒動で資金繰りが苦しく、一刻も早く給付金を手にしなければ死活問題になるとか、すぐに予算が尽きるはずだから早いもの勝ちではないかと焦る対象者も多いはずだ。

 こうした事態のときには、必ず便乗詐欺が登場する。

 一つは、あたかも経産省が送信した申請手続用のメールであるかのように装うフィッシング詐欺だ。詐欺師が無差別にメールを送りつけても、心当たりのある人に当たる確率が高く、メールを開き、記載されているリンクをクリックする可能性が高まるからだ。

 そこで個人情報を吸い取られ、悪用される。しかも、単に氏名や住所、電話番号だけでなく、確定申告の内容や銀行口座の番号、運転免許証の写しなど、かなり秘密性が高い情報だ。

 同様に、経産省や市役所の担当者などを語って電話をかけ、個人情報を引き出そうとするやり方も考えられる。すでに10万円の特別定額給付金では、そうした事例が多数報告されているところだ。

自己防衛を

 経産省も、持続化給付金を装った詐欺への注意喚起をしているところだが、指定されている窓口に相談したくても、ほかの相談が大量に押し寄せているため、電話が繋がらない状態だ。

 東日本大震災などのときも同様だったが、世の中が混乱し、情報に飢え、不安を抱えている人が多いときこそ、詐欺師にとっては好機だ。普段は慎重な人でも安易にだまされやすい素地があるからだ。

 絶対に引っかからないように注意を要する。詐欺師に対抗するには、自己防衛が不可欠だ。(了)

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。きき酒師、日本酒品質鑑定士でもある。

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15年間の現職中、特捜部に所属すること9年。重要供述を引き出す「割り屋」として数々の著名事件で関係者の取調べを担当し、捜査を取りまとめる主任検事を務めた。のみならず、逆に自ら取調べを受け、訴追され、服役し、証人として証言するといった特異な経験もした。証拠改ざん事件による電撃逮捕から5年。当時連日記載していた日誌に基づき、捜査や刑事裁判、拘置所や刑務所の裏の裏を独自の視点でリアルに示す。

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