ノート(番外) 自分に都合のよい証拠や事実は輝いて見える 複眼的な視点の重要さ(参加者との質疑応答)

(未読であれば「ノート(番外) 自分に都合のよい証拠や事実は輝いて見える 複眼的な視点の重要さ(上)」を先にご覧ください。購読者でなくてもかなりの部分まで読めるように少し工夫させていただいていますので)

 講演の参加者からは、休憩時間中に質問事項をメモ書きし、提出してもらいました。すべての質問に答えようとしたため、時間の関係などから答えが簡潔すぎたものも多々ありました。ここで改めて参加者の質問を取り上げ、詳細な回答を記したいと思います。

1 キャリアについて

●刑の執行を終えて10年経過すれば弁護士登録が可能となるが、今後、弁護士登録をするつもりは?

→一切ない。「在野法曹」とはいうものの、結局のところ「弁護士会」という組織の枠組みの中で活動せざるを得なくなるし、何よりも依頼者に縛られてしまう。事務所の運営も何かと大変。第二の人生は組織に属さず、そうした縛りからも解放され、自分のやりたいことを思いのままにやっていきたい。

 また、たとえ刑期を終えて復権したとしても、弁護士会のような狭量な組織が「刑務所帰りの前科者」を、それも刑事司法に対する信頼を失墜させた者を受け入れるはずがない。

 法曹界から距離を置き、しかも現職時代に検事として対立しただけでなく、その後、刑事・民事の両名で弁護士に事件を依頼した経験があるものだからこそ、ユーザー目線に立ちつつ、弁護士や弁護士会、彼らの活動に対する忌憚のない意見を示すこともできる。

●司法試験を目指す学生に検事はオススメできる?

→国家公務員ということで経済的に安定しているうえ、官舎や福利厚生も充実しているから、職業の一つとしてオススメできる。

●刑事事件に携わるなら検事と弁護士とどちらがいい?

→何がやりたいかにもよるが、検事になって内情を知り、途中で辞めて刑事事件専門の弁護士になるのも一つのやり方ではないか。

●検事になったことを後悔している?

→後悔はしていない。ただ、司法修習生のときに悩んだとおり、もし広島で少年事件専門の弁護士になっていたら、自分の人生はどう変わっていただろうと思うことはある。

●ロースクールで実務家教員が青田買いをしていると聞いたが、予備試験ルートのためロースクールを卒業できない身としては不安。検事に任官するにあたりコネは大事?

→確かにコネがないよりあったほうがいいに決まっているが、予備試験組のほうが優秀なので、司法修習開始の早い段階から検事志望であることを鮮明にしておけば、検察教官から声がかかるのではないか。

●検察官になるために、これをやっておくとよいといったことは?

→いくつか挙げられる。

 例えば、検事だと毎年春に次の異動希望地などのほか、語学や簿記を含めた法律以外の能力などを「人事データシート」に書いて提出させられる。

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前田恒彦

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15年間の現職中、特捜部に所属すること9年。重要供述を引き出す「割り屋」として数々の著名事件で関係者の取調べを担当し、捜査を取りまとめる主任検事を務めた。のみならず、逆に自ら取調べを受け、訴追され、服役し、証人として証言するといった特異な経験もした。証拠改ざん事件による電撃逮捕から5年。当時連日記載していた日誌に基づき、捜査や刑事裁判、拘置所や刑務所の裏の裏を独自の視点でリアルに示す。

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1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。きき酒師、日本酒品質鑑定士でもある。

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