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「日産に損害なし」というゴーン氏の主張を特捜部はどう見るか

前田恒彦元特捜部主任検事
(写真:ロイター/アフロ)

 カルロス・ゴーン氏は、私的な投資損失を日産に付け替えたとされる容疑について、「日産に損害を与えておらず、特別背任罪には当たらない」と主張している。特捜部の視点に立った場合、この主張をどう見るだろうか。

特別背任罪が成立するには

 確かに、会社の経営者に特別背任罪が成立するには、次の3つの要件を充たす必要がある。

(1) (a)自己又は第三者の利益を図る目的か、(b)会社に損害を加える目的があったこと(片方だけで可)

(2) 任務に背く行為をしたこと

(3) 会社に財産上の損害を加えたこと

 会社経営の中で(3)ありとするためには、1回ごとの取引の損得ではなく、ある程度のスパンにおいて、差し引き総額でマイナスが生じている必要がある。「損して得取れ」という商格言もあるほどだ。ゴーン氏としても、結果的には4か月間という一時的な付け替えで終わったし、日産の持ち出しもなかったと言いたいところだろう。

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元特捜部主任検事

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。

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