60回目を迎えた全国矯正展 今年の目玉は…

網走刑務所のニポポ人形は名作ゲーム「オホーツクに消ゆ」のキーアイテム(筆者撮影)

 6月1日と2日、東京・北の丸公園の科学技術館で全国矯正展が開催される。受刑者が刑務所で製作した製品を一堂に集めた大イベントで、1959年の第1回から数えて今年で60回目となる。

【イベントの内容】

 入場無料のこのイベントでは、審査会で大臣賞などを受賞した最高峰の製品のほか、全国の刑務所におけるバラエティに富んだ製品が多数展示される。

 例えば、神輿、家具類、バッグ、財布、バーベキューコンロ、七宝焼、南部急須、焼酎サーバー、湯呑、煎茶、乾麺、生しいたけ、ガラスペン、文鎮、ブックカバー、名刺入れ、便せん、革靴、苔盆栽、積み木、洗剤などだ。

 その場で購入することも可能だ。売上は主に次の原材料費として使用されるほか、犯罪被害者支援団体の助成金としても活用されている。

 3Dレーザープリンターなど新しいタイプの刑務作業の実演や、萩焼の絵付けといった体験コーナーもある。刑務作業の歴史を振り返る展示も準備されている。

 子ども向けに刑務官の制服を着用した記念撮影や、景品がもらえる「ゆるキャラ」のスタンプラリーまである。

 両日とも、先着500名には60回記念ロゴが付いた鳥取刑務所製のペットボトルホルダーがプレゼントされる。

【芸能界からゲストも】

 オープニングセレモニーのゲストも、特別矯正監の杉良太郎を筆頭に、矯正支援官の石田純一、大川栄策、桂才賀、コロッケ、高橋みなみ、MAX、Paix2(ペペ)など多彩だ。

 Paix2(ペペ)と聞いても縁遠いかも知れないが、刑務所でのコンサート活動を熱心に行なっている女性デュオで、受刑者のアイドル的存在だ。

【今年の目玉は…】

 このイベントでは、府中刑務所のコッペパンや少年院で少年たちが手作りした野菜、函館少年刑務所の「マル獄」シリーズ、栃木・黒羽刑務所の「ハローキティだるま」といった定番の人気商品が出揃う。

 中でも目玉は、広島刑務所が広島カープとコラボし、高い縫製技術を有するトップクラスの受刑者が製作している「キラキラ反射ポーチ」だろう。

 大好評すぎて生産が間に合わず、今回の全国矯正展でもホームユニフォーム版、ビジターユニフォーム版が各25個ずつしか販売されないから、プレミア間違いなしだ。

 「カープ坊や」ならぬ「刑務官坊や」がデザインされた「キラキラ反射缶バッジ」も展示、販売される。

広島刑務所が広島カープとコラボした「キラキラ反射ポーチ」(全国矯正展の公式フェイスブックページより)
広島刑務所が広島カープとコラボした「キラキラ反射ポーチ」(全国矯正展の公式フェイスブックページより)

【実は受刑者が作った製品は…】

 もちろん、単に民間企業の下請けとして受刑者が組立や封入、梱包作業などを行っている製品、ということであれば、既に世の中にあふれかえっている。おそらく、皆さんも知らず知らずのうちに手にし、実際に使っていることだろう。

 100円均一ショップで「日本製」として販売されている様々な商品の一部、例えばシャープペンやボールペン、フラットファイル、洗濯バサミなどがそれだ。

 鍋料理の点火に使用する着火口が長い使い捨てライターもその一つだ。

 しかし、全国矯正展であれば、一般にイメージされている刑務所製品の実物を一度にまとめて見ることができる。

 同様のイベントは、これから11月までの間、毎月、全国各地の刑務所、拘置所、駅、ショッピングセンター、公園などを会場として行われる

 刑務所は税金で運営されている施設である上、誰もが裁判員として人を裁く立場となり得る時代。こうしたイベントが、少しでも刑務所内の様子や受刑者の社会復帰に向けた活動に対して関心を呼び起こす機会となることを期待したい。(了)

【参考】

 (開催日時

 6月1日(金)午前10時~午後4時30分

 6月2日(土)午前9時30分~午後4時

 (開催場所

 東京都千代田区北の丸公園内「科学技術館」

 (オープニングセレモニー

 6月1日(金)午前10時から地下2階サイエンスホールで実施(8時30分から科学技術館正面入口で整理券配布)

 詳しくは第60回全国矯正展リーフレットを参照。

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。きき酒師、日本酒品質鑑定士でもある。

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15年間の現職中、特捜部に所属すること9年。重要供述を引き出す「割り屋」として数々の著名事件で関係者の取調べを担当し、捜査を取りまとめる主任検事を務めた。のみならず、逆に自ら取調べを受け、訴追され、服役し、証人として証言するといった特異な経験もした。証拠改ざん事件による電撃逮捕から5年。当時連日記載していた日誌に基づき、捜査や刑事裁判、拘置所や刑務所の裏の裏を独自の視点でリアルに示す。

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