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『平成28年度漫才新人大賞』優勝はオキシジェン

ラリー遠田作家・お笑い評論家
オキシジェン

2016年6月21日、東京・国立演芸場で『平成28年度漫才新人大賞』が開催された。漫才協会に所属する芸人が腕を競い合う漫才コンテスト。予選を勝ち抜いた10組の芸人がこの日の決勝に臨んだ。

仙台のお笑いプロダクション・お笑い集団ティーライズに所属するニードル、ストロングスタイル、アコーディオンと針金アートを使った夫婦漫才のおしどり、「こんばんわんこそば」「テイテイツー」などのギャグで知られる新宿カウボーイなど、決勝には多彩な顔ぶれが揃った。

優勝を果たしたのは、三好博道と田中知史のコンビであるオキシジェン。いろいろな会社の「社訓」を勝手に考えて、それを絶叫するという漫才を披露して会場を沸かせた。優勝が決まった直後の2人を直撃した。

――決勝の舞台に来るのは何回目?

三好:去年来ていたので、2回目ですね。去年は勝てなくて悔しい思いをしました。終わってから師匠方に「何やってんだ」って言われたりしましたからね。

――決勝でこのネタを選んだ理由は?

三好:普段の寄席とかでは、もっと年配のお客さんが多いので、分かりやすいネタをやってるんですけど、去年はそれでちょっと失敗したんですよね。この大会では若いお客さんも多いので、今年は普通に若い人が来るようなライブでやっているネタを持ってきました。自己紹介とかもあんまりなく、スッと入れるやつをやろうかなと。

――勝つために意識したことはありますか?

三好:(年配層向けにネタの内容を)寄せて負けるのは嫌だなと思ってましたね。寄せて負けると、後輩のホタテーズに馬鹿にされるんですよ。

田中:1本の漫才の中にネタが2本あると「2本ありましたね」なんて言われたりするんですよ(笑)。

――手応えはどうでしたか?

三好:ホリプロコムっていう自分たちの事務所のことをネタにするところがあったんですけど、その辺が伝わったのが良かったですね。

田中:みんなウケてたから、勝てるかどうかは分からなかったです。あと、時間がね。制限時間7分以内で、僕らは5分ちょっとしかやってなかったので。もうちょっと間を取ってやった方が良かったかな、とか思ったりはしました。

――ネタの中で吉本をイジるくだりがありましたが、あれは大丈夫ですか?

三好:まあまあ、大丈夫じゃないですか。

――どんな内容でしたっけ?

田中:(吉本の社訓は)「吉本以外の事務所はすべて植民地」……いや、これは書かないでくださいよ!

三好:これは本当にインディーズライブのノリで言ってることですからね。

田中:僕ら、メディア慣れてないんですよ。こういうのも記事になっちゃうんですか?

――では、見出しにします。

田中:いや、見出しはやめましょうよ!

三好:見出しはまずいなー。

――優勝が発表されたときのお気持ちは?

三好:嬉しかったですね。

田中:これで東洋館のギャラが千円上がるらしいので、それが嬉しいですね。

三好:若手にとって千円は死活問題ですからね。

――次の目標は?

三好:『M-1グランプリ』ですかね。僕らは今まで3回戦までしか行っていないので。

――今年こそは優勝ですかね。

三好:いや、優勝は難しいですからね(笑)。まずは決勝に行きたいですね。

作家・お笑い評論家

テレビ番組制作会社勤務を経て作家・お笑い評論家に。テレビ・お笑いに関する取材、執筆、イベント主催など、多岐にわたる活動を行っている。主な著書に『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと『めちゃイケ』の終わり<ポスト平成>のテレビバラエティ論』(イースト新書)、『逆襲する山里亮太』(双葉社)、『なぜ、とんねるずとダウンタウンは仲が悪いと言われるのか?』(コア新書)、『この芸人を見よ! 1・2』(サイゾー)、『M-1戦国史』(メディアファクトリー新書)がある。マンガ『イロモンガール』(白泉社)では原作を担当した。

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