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新型コロナ オミクロン株亜系統BA.5による症状の特徴は?症状の頻度、症状が続く期間について

忽那賢志感染症専門医
オミクロン株BA.5の臨床症状 フランス公衆衛生局のデータより

日本国内ではオミクロン株の亜系統BA.5が拡大しています。

このBA.5ではこれまでのオミクロン株と比べて症状の頻度や続く期間は違うのでしょうか。

これまでに分かっていることについてまとめました。

日本国内でも急速にBA.5に置き換わっている

東京都におけるそれぞれの変異株の割合の推移(第93回東京都新型コロナウイルス感染症モニタリング会議資料より)
東京都におけるそれぞれの変異株の割合の推移(第93回東京都新型コロナウイルス感染症モニタリング会議資料より)

第6波の主流であったオミクロン株はBA.1と呼ばれる亜系統に分類されます。

その後、4月から5月にかけてBA.2と呼ばれる亜系統が日本国内で拡大し主流となりました。

そして現在、BA.5と呼ばれる亜系統が日本国内で拡大しています。

7月中旬時点ですでに東京都内では半分以上がBA.5による感染例と考えられています。

BA.5の症状は、BA.1/BA.2とほとんど変わらない

フランスでBA.5に感染した288人の臨床症状の頻度(フランス公衆衛生局 2022/06/15資料より)
フランスでBA.5に感染した288人の臨床症状の頻度(フランス公衆衛生局 2022/06/15資料より)

従来の新型コロナウイルスと比べて、オミクロン株では鼻水やのどの痛みなどの症状が多く、嗅覚・味覚の異常は少なくなっており、より風邪やインフルエンザの症状に似てきていることが分かっていました。

同じオミクロン株であるBA.5でも同様に鼻水やのどの痛みの症状が多いようです。

フランス公衆衛生局の調査によると、フランス国内でBA.5に感染した288人の臨床症状で多かったのは、だるさ(76%)、咳(58%)、熱(58%)、頭痛(52%)、鼻水(50%)などでした。

BA.1の感染者と比べると、鼻水、下痢、味覚異常、嗅覚異常の頻度が高く、症状が続く期間もBA.1の4日間と比べ7日間と長かったとのことです。

また全く無症状であったのは3%のみであったということです。

ただし、患者数も少なく、検査対象の選び方によっても変わってくるので、これらの症状の頻度・持続期間・無症候性感染者の割合は今後さらなるデータによって修正される可能性もあります。

また、同様にイギリスのZOE study appという携帯アプリを用いて行われた調査では、BA.5が拡大している時期に行われた症状の調査として、

・鼻水 66%

・のどの痛み 65%

・頭痛 64%

・咳 63%

・だるさ 62%

・くしゃみ 53%

・声のかすれ 44%

・発熱 31%

・嗅覚異常 21%

と報告されており、やはり鼻水やのどの痛み、咳が多いようです。

これらの症状がみられた場合は無理はせず仕事や学校は休んで、検査を受けるようにしましょう。

重症度や潜伏期間に変化があるのかはまだ分かっていない

このように、BA.5に感染した際の症状の頻度や長さについては少しずつデータが出てきていますが、

・オミクロン株では潜伏期間が3日と短くなっていたが、BA.5でも変わりないか

・オミクロン株ではデルタ株よりも重症化リスクが低くなっていたが、BA.5でも同等の重症度か

についてはまだ情報が十分ではありません。

今のところBA.5がこれまでのオミクロン株よりも重症化しやすいという疫学的な情報はありませんが、世界に先駆けてBA.5が広がったポルトガルでは多くの死亡者が報告されており、注意が必要です。

潜伏期については、これまでのオミクロン株と同様に3日くらいなのではないかというのが実臨床での印象です。

まだ分からないことが多いBA.5 十分警戒しましょう

当初オミクロン株が世界で広がった際、日本は厳しい水際対策を行うことで侵入を遅らせることができました。

その間に海外で得られたオミクロン株の情報を十分に収集することができました。

しかし、このBA.5については諸外国と同じようなペースで広がっていることから、まだ情報が十分ではない状況です。

「どうせ同じオミクロン株だし感染しても大丈夫っしょ」とタカをくくらず、

・屋内ではマスク着用し、飲食の時間もマスクを外す時間をなるべく短くする

・3密を避ける

・こまめな手洗いを行う

といった基本的な感染対策を継続的に行っていくことが重要です。

また、3回のワクチン接種によって新型コロナへの感染予防効果・重症化予防効果を高めることができます。

オミクロン株ではワクチンによる感染予防効果が低下しており、3回接種をしていても感染することはありますが、3回接種している人では感染した際も排出するウイルス量は減少するとされており、周りには感染させにくくなると考えられます。

また高齢者や基礎疾患のある方は4回目の接種によってさらに重症化を防ぐことができます。

自分自身を、そして周りの人を守るためにも、引き続きワクチン接種をご検討ください。

手洗い啓発ポスター(羽海野チカ先生作)
手洗い啓発ポスター(羽海野チカ先生作)

感染症専門医

感染症専門医。国立国際医療研究センターを経て、2021年7月より大阪大学医学部 感染制御学 教授。大阪大学医学部附属病院 感染制御部 部長。感染症全般を専門とするが、特に新興感染症や新型コロナウイルス感染症に関連した臨床・研究に携わっている。YouTubeチャンネル「くつ王サイダー」配信中。 ※記事は個人としての発信であり、組織の意見を代表するものではありません。本ブログに関する問い合わせ先:kutsuna@hp-infect.med.osaka-u.ac.jp

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