冬の方が新型コロナは流行しやすいのか? 気温や湿度と新型コロナとの関係

(写真:アフロ)

夏が終わり、これから徐々に気温が低くなってきます。

新型コロナは冬に増加するのではないかと懸念されています。

湿度や気温と新型コロナの関係について、今あるエビデンスを整理しました。

インフルエンザなどの呼吸器系ウイルス感染症は冬に増加する

冬に流行するインフルエンザのように、新型コロナも寒い環境の方が流行しやすいのではないか、と誰しも思うのではないでしょうか。

一般的に呼吸器系のウイルス感染症では季節性の変動があり、冬季の乾燥し寒い気候によってウイルスの安定性と伝播力を高めるのと同時に、ヒトの免疫系を弱めるため、増加する傾向にあります。

新型コロナウイルスと同じコロナウイルスであり、かぜの原因微生物であるヒトコロナウイルスも、年中流行していますが特に冬に多くなります。

果たして気温は新型コロナの流行に影響を与えるのでしょうか。

温度や湿度が低い地域ほど新型コロナの症例が多い?

日本国内の新型コロナと気温との関係を見た研究があります(Int J Infect Dis . 2020 Apr 30;95:301-303.)。

私の同僚の氏家無限医師(@carpe_diem0820)は国内での流行初期に、北海道では新型コロナの感染者が多く、南側の温かい県では比較的少ないことに着目し、気温と新型コロナとの関係について検討しました。

2020年1月から2月にかけて中国からの渡航者から初期の流行が広がったことより、2020年2月の各都道府県の平均気温と2020年1月の中国からの旅行者の数について検証したところ、気温が低い地域ほど感染者数が多いという関連がみられました。

日本以外でもブラジル中国アメリカでも同様に「気温や湿度が低いほど患者数が増加する」という結論が得られた研究結果が報告されています。

国別のデータでは「気温や湿度が低い地域ほど症例数が多い傾向にある」と言えそうです。

では、世界各国を比較したデータではどうでしょうか。

米国医師会雑誌に世界各国の都市の流行と、気温・湿度を検討した研究が掲載されています。

世界50都市の気温・湿度と新型コロナ症例数との関係(JAMA Netw Open. 2020;3(6):e2011834.を筆者加工)
世界50都市の気温・湿度と新型コロナ症例数との関係(JAMA Netw Open. 2020;3(6):e2011834.を筆者加工)

この研究でも平均気温5~11℃で湿度の低い地域で新型コロナの伝播が多く見られているという結果でした。

166カ国の気温・湿度と感染者・死亡者の数との関係を検討した別の研究では、

・気温が1℃上昇するごとに 1日の新規症例数が3.08%減少 / 新規死亡数が1.19%減少

・相対湿度が1%上昇するごとに、1日の新規症例数が0.85%減少 / 新規死亡数が0.51%減少した

と報告されています。

気温・湿度と新型コロナの広がりやすさに関する17の研究をメタ解析という手法で検討した研究でも、やはり温度・湿度が低い地域では、高い地域よりも新型コロナは伝播しやすいという結論でした。

今冬に新型コロナは増えるのか?

ではこれらのデータから、冬に新型コロナは流行すると言えるのでしょうか?

少なくとも、夏よりは流行しやすい環境にはなると考えられますが、必ずしも気温や湿度だけが流行を規定するわけではありません。

気温、湿度、標高などの環境要因と集会禁止、学校閉鎖や社会的距離拡大戦略(Social distancing)といった公衆衛生的介入とを含めて新型コロナの流行抑制への貢献度を検討した研究では、気温は流行抑制への影響はなく、湿度がわずかに感染抑制と関連がみられたのみであり、公衆衛生的介入の方が影響が大きかったという結論でした。

つまり、気温や湿度は新型コロナの伝播に影響するものの、冬だからといって必ず夏よりも流行するとは限らず、流行するかどうかは私たちの感染対策の徹底具合によっても大きく左右されるものと考えられます。

人工的に気温や湿度を変えることができない以上は冬に新型コロナが流行るかどうかを今から心配しても仕方ないですし、それよりも屋内ではマスクを着ける、3密を避けるといったWithコロナ時代の感染対策を続けていくことの方が冬に流行させないためには重要です。

冬を迎えるにあたって今一度、感染予防をしっかりと行っていきましょう。

手洗い啓発ポスター(羽海野チカ先生作成)
手洗い啓発ポスター(羽海野チカ先生作成)