新型コロナの典型的な症状と受診する目安は?

新型コロナウイルス感染症の典型的な経過(筆者作成)

この記事は2020年4月当時の情報に基づいたものです。

症状・経過に関する最新の記事はこちらです。

都市部を中心に新型コロナ患者の増加が止まりません。

どのような症状があれば新型コロナを疑い病院を受診すれば良いのでしょうか。

新型コロナの典型的な症状、病院を受診する目安や注意点などについてまとめました。

新型コロナウイルス感染症の典型的な経過

新型コロナウイルス感染症では風邪のような症状から始まります。

風邪のような症状とは、微熱を含む発熱、鼻水、鼻詰まり、ノドの痛み、咳などです。

中国の4万人のデータの報告によれば、患者の8割は重症化に至らず治癒するようです。

数日~1週間以降に2割弱の患者では、肺炎の症状が増強し入院に至ることがあります。

約5%の症例で集中治療が必要になりICUに入室し、2-3%の事例で致命的になりうるとされています。

新型コロナウイルス感染症の経過(筆者作成)
新型コロナウイルス感染症の経過(筆者作成)

特徴的なのは、症状の続く期間の長さです。

新型コロナウイルス感染症は風邪やインフルエンザによく似ていますが、症状が続く期間がそれらと比べて長いという特徴があるようです。

特に重症化する事例では、発症から1週間前後で肺炎の症状(咳・痰・呼吸困難など)が強くなってくることが分かってきました。

中国のデータでは、発症から病院を受診するまでに平均5日、そして入院までに平均10日かかることが分かっています。

つまり、発症してから1週間程度は風邪のような軽微な症状が続き、約2割弱と考えられる重症化する人はそこから徐々に悪化して入院に至るというわけです。

インフルエンザは比較的急に発症し、高熱と咳、ノドの痛み、鼻水、頭痛、関節痛などが出現します。

風邪はインフルエンザに比べるとゆっくりと発症し、微熱、鼻水、ノドの痛み、咳などが数日続きます。

しかし、新型コロナウイルス感染症のように1週間以上続くことは比較的稀です(ただし咳や痰の症状だけが2週間程度残ることはよくあります)。

ここが風邪やインフルエンザと新型コロナウイルス感染症とを見分ける一つの手がかりになるかもしれません。

もう一つの特徴として、嗅覚障害・味覚障害を訴える患者さんが多いことも分かってきました。

イタリアからの報告によると新型コロナ患者59人のうち、20人(33.9%)で嗅覚異常または味覚異常がみられたとのことです。

特に若年者、女性ではこれらの症状がみられる頻度が高いようです。

ただの風邪や副鼻腔炎、花粉症が原因で嗅覚異常・味覚障害が起きることもあるので「嗅覚障害・味覚障害=新型コロナ」ではありませんが、だらだらと続く風邪症状に加えてこれらの症状があれば新型コロナの可能性は高くなるでしょう。

また、嗅覚障害・味覚障害のみの症状の方もいらっしゃるようですが「2週間以内の海外渡航歴がある」「新型コロナ患者との接触歴がある」「特定のクラスターに曝露している」のいずれかを満たす方では、新型コロナの検査の対象になる可能性がありますので、かかりつけ医や帰国者・接触者相談センターに相談しましょう。

病院を受診する前に

新型コロナが心配なとき(東京都福祉保健局HPより)
新型コロナが心配なとき(東京都福祉保健局HPより)

自身が新型コロナかなと思ったら、まずはかかりつけ医か帰国者・接触者相談センターに相談しましょう。

帰国者・接触者外来に受診が必要と判断されたら、マスクを着けて、なるべく交通機関を使わずに病院を受診するようにしましょう。

各都道府県の帰国者・接触者相談センターは以下のページからご確認ください。

新型コロナウイルスに関する帰国者・接触者相談センター

病院を受診するデメリット

医療機関を受診するデメリットもあります。

それは「ただの風邪で受診したのに結果的に新型コロナウイルス感染症にかかってしまう」ことです。

現在、新型コロナウイルス感染症が疑われた場合、各自治体の相談窓口に電話相談した後に医療機関の「帰国者・接触者外来」を受診することになります。

今の国内の状況では、受診者の大半は「新型コロナウイルス感染症ではない(風邪などの)患者」ですが、稀に新型コロナウイルス感染症の方が外来を受診している可能性があります。

例えばですが、ロサンゼルスでは2020年3月にインフルエンザのような症状で受診した患者のうち5%が新型コロナであったとのことです。

地域によってこの頻度は異なりますが、多くの地域では風邪症状で受診する患者の大半は新型コロナよりも風邪やインフルエンザです。

しかし、患者さんがたくさん医療機関に押しかけることによって、風邪の患者さんと新型コロナウイルス感染症の患者さんとが、同時に医療機関の中に集まることになります。

多くの医療機関では、受診者同士が近距離で接しないように一定の間隔で待合で待機できるように配慮していますが、受診者があまりに多すぎると狭い空間に受診者が長時間待機することになるかもしれません。

新型コロナウイルス感染症である可能性が高くない時点で病院を受診することは、場合によってはかえって新型コロナウイルス感染症に罹る可能性を高めることがありますので注意しましょう。

高齢者や基礎疾患のある患者は早めの受診を

年齢別にみた新型コロナウイルス感染症の致死率(中国CDCのデータより筆者作成)
年齢別にみた新型コロナウイルス感染症の致死率(中国CDCのデータより筆者作成)

当初から言われているように、新型コロナウイルス感染症で重症化しやすいのは高齢者と持病のある方です。

中国CDCより発表された44672人の新型コロナウイルス感染症患者のデータによると、年齢が上がれば上がるほど致死率が高くなることが改めて数字として示されています。

30代くらいまでは亡くなる人はほとんどいませんが、40代以降から徐々に致死率が高くなり、80歳以上では14.8%という非常に高い致死率となっています。

イタリアでも同様に亡くなっているのは大半が高齢者です。

高齢者では風邪やインフルエンザのような症状が続けば早めに病院を受診する方がメリットがあるでしょう。

基礎疾患と新型コロナウイルス感染症の致死率(中国CDCのデータより筆者作成)
基礎疾患と新型コロナウイルス感染症の致死率(中国CDCのデータより筆者作成)

持病の有る無しによっても重症度が変わってくることも分かってきています。

心血管疾患、慢性呼吸器疾患、がんなどの持病をお持ちの方も、早めに受診することが望ましいでしょう。

周囲の流行状況を把握しておきましょう

各都道府県における新型コロナの流行状況(厚生労働省 発生状況マップより)
各都道府県における新型コロナの流行状況(厚生労働省 発生状況マップより)

現在は地域によって流行状況が異なります。

4月25日までに東京都では3590人の患者が報告されており、まだまだ患者は増加傾向です。

3月上旬には当院でPCR検査を受けた患者の5%が陽性でしたが、現在は10%以上にまで高くなっています。

一方、岩手県のようにまだ患者が報告されていない地域もあります。

こうした地域にお住まいの方では、風邪症状が出たとしても、海外渡航歴や接触歴がなければ新型コロナの可能性は高くないでしょう。

周辺の流行状況によって、自身が新型コロナに罹る可能性も変わってきますので、お住まいの地域の流行状況をしっかりと把握しておくことが大事です。

風邪やインフルエンザのような症状が出現した場合も、個々人が自身の感染リスクと重症化する可能性を考慮した上で、病院を受診するかどうか判断するようにしましょう。

また、病院を受診しない場合も、手洗いや咳エチケットなどの予防対策は必要ですし、周囲の人(特に高齢者や持病のある人)にはうつさないような配慮が必要です。

不要不急の外出は控え、3密空間に行くことは避けましょう。

国難とも言える大変な時期ですが、みんながそれぞれできることをしっかりとやっていきましょう。