マスクの正しい使い方 今こそ見直そう

(写真:ロイター/アフロ)

新型コロナウイルス感染症に関する報道が連日続いています。

感染者数、死者数も連日増え続けており、感染者が出ている地域も広がっています。

2020年1月23日7時時点での状況

・中国国内で547人(24省)、世界全体で555人(タイ4人、日本1人、韓国1人、台湾1人、アメリカ1人)の感染者

・17人の死者(致命率3.1%)

・日本では1人の感染者(すでに軽快退院)と18人の健康観察調査(現時点で発症者なし)

参考:CNN novel coronavirus update2020年1月22日新型コロナウイルス感染の流行状況(中国国家衛生健康委員会)中華人民共和国湖北省武漢市における新型コロナウイルス関連肺炎について(令和2年1月22日版)

2020年1月23日7時時点で分かっていること

・濃厚接触でヒトからヒトに感染しうる

・中国国内では武漢への渡航歴のない症例が出ているがリンクはたどれている(誰から感染したか分かっている)

・日本国内では1人感染者が報告されているが健康観察調査対象者からは発症者はおらず、感染は拡大していない

中国では新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、マスクの買い占めが起こっているようです。

高機能マスク、中国で買い占めや売り切れ情報…新型肺炎「人から人へ感染」

インフルエンザ流行期でもありますし、咳やくしゃみのある人がマスクを着用したり、咳エチケットを行うことは大変重要です。

しかし、この武漢で回復された患者さんの体験談の記事の写真は、患者さん自身にN95マスクが着用されており、間違った使用法です。

N95マスクは空気感染する感染症の患者を診療する際に医療従事者が着けるものであり、患者さんが着けるものではありません。

肺炎の患者さんが着けるととても苦しいですし、空気感染する病原体が咳やくしゃみとして出るときは「飛沫」の状態であり普通のマスクであってもしっかりと拡散を防げます。

武漢で今も患者さんがN95マスクを着用させられているのかは分かりませんが、マスクは正しく着用することが感染予防の上ではとても大事です。

基本的にマスクではかぜやインフルエンザは予防できない

昔から日本人はマスクを着けるのが好きと言われますが、そもそも(感染症に関しては)マスクは予防のために使うものではなく、感染してしまった人が周囲に広げないために使うものです。

かぜやインフルエンザに罹ってしまった人がマスクを使用することは感染の広がりを防ぐために非常に重要です。

しかし、逆に無症状の人がマスクを着用することで周囲からの感染を防ぐことはできるのでしょうか?

結論から言うと、これまでの研究ではマスク単独でのインフルエンザやかぜなどの予防効果は示されていません(BMJ. 2015 Apr 9;350:h694)。

マスクを着用した人と、マスクを着用しなかった人とを比べても、かぜやインフルエンザの発症率に差はないとする報告が多数あります。

残念ながら無症状のときにマスクを着けてもかぜやインフルエンザを防げるとは今のところ言えません。

新型コロナウイルス感染症に関してもおそらく同様と考えられます。

しかし、鼻や口をしっかりと覆っているわけですから理屈からすると感染を防げそうなマスクが、なぜかぜやインフルエンザの予防効果を証明できないのでしょうか?

これには正しい答えはありませんが、私の考えとして、一つは多くの人が正しいマスクの着用ができていないことがあるだろうと考えます。

皆さんは正しいマスクの装着の仕方をご存知でしょうか?

マスクの着けっぱなしはダメ

まず、マスクを着けるタイミングです。

ときどき朝から晩まで一日中マスクを着けている方がいらっしゃいますが、感染予防の観点からはダメです。

なぜならば、マスク表面はしばしばウイルスで汚染されてしまうからです。電車で周りの人からくしゃみを浴びたとき、あちこちを触った自分の手でマスクを触ったときなど、マスクは一日の中でだんだんと汚染されていきます。

かぜやインフルエンザは飛沫(くしゃみや咳)だけでなく、触れることでもうつりますので、結局自分のマスクに触れた手で目や鼻を触ったりすることで感染してしまいます。

マスクは咳やくしゃみをしている人と接したり、表面を触ってしまったらこまめに着け替えることが大事です。そして、その後はしっかりと手洗いをしましょう。

「だてマスク」として、ファッションとしてマスクを着けられている方もいらっしゃるようです。「だてマスク」はWikipediaによると「『マスクを完全に外すのは飯、風呂、寝る時だけ』と証言する者もいる。」とありますが、感染予防のためにはこまめに着け替えることをお勧めします。

なお、医療従事者がインフルエンザなどの飛沫感染をする感染症の患者さんを診察するときは、1回1回必ずマスクを着け替えます。

マスクは着け方も大事

鼻マスク(筆者撮影、武藤義和医師協力)
鼻マスク(筆者撮影、武藤義和医師協力)

このマスクの着け方はどこがおかしいかお分かりでしょうか?

そうです、鼻が出ていますね。

これは通称「鼻マスク」と呼ばれる間違った着け方です。

マスクは鼻から顎までしっかり覆わなければいけません。

厚生労働省のインフルエンザ予防啓発ポスター
厚生労働省のインフルエンザ予防啓発ポスター

こちらは厚生労働省のインフルエンザ予防啓発ポスターです。

「お口をカバー。手を洗いグマ。」ということで、マスクと手洗いの重要性を伝える素晴らしいポスターですが、このカバも鼻マスクであって、正しくは口だけでなく鼻もマスクで覆わなければいけません。

カバにもカバの事情があるのだと思いますが(顔の解剖学的問題など)、鼻をしっかり覆わないと自分が具合が悪いときはくしゃみが飛んで周囲に感染させてしまいますし、周囲に具合の悪い人がいるときは鼻にウイルスが入ってくるかもしれません。

またマスク表面にくっついたウイルスも手で触って鼻に入りやすい状態です。

顎マスク(筆者撮影、武藤義和医師協力)
顎マスク(筆者撮影、武藤義和医師協力)

ではこれはどうでしょうか。

「顎マスク」と呼ばれるもので、これもよく見かけます。

もはや鼻も口も完全にオープンになっており、マスクの役目が全く果たされていません。これをやるくらいならマスクを外しましょう。

使わないときは捨てましょう!

さらに、マスクを着けていないときに肘に着けている人もいます。「肘マスク」と呼ばれます。

肘マスク(筆者撮影、武藤義和医師協力)
肘マスク(筆者撮影、武藤義和医師協力)

これも肘があちこちに触れてマスクの汚染の原因となります。

使っていないときにポケットにマスクを入れている方も同様です。

もったいないと思う気持ちは分かりますが、マスクは一度外したらそのまま捨てましょう。

こまめな手洗いも大事

症状がない方にとっては、マスクの着用よりも大事なのは手洗いです。

あなたは正しい手洗いができていますか?

今はインフルエンザが流行している時期でもありますので、咳エチケット、手洗いを普段よりも丁寧に行うようにしましょう。

厚生労働省の咳エチケット啓発ポスター
厚生労働省の咳エチケット啓発ポスター

※この記事は2019/11/10の記事「正しいマスクの着け方、できていますか?」を加筆修正したものです