インフルエンザの異常行動 タミフルとの関係は?

(写真:アフロ)

今年のインフルエンザは流行開始が早く、12月25日の時点で定点当たり報告数は21.22となっており、正月はまさに流行のピークに近づいています。

インフルエンザ流行マップ(国立感染症研究所 第51週 2019年12月25日現在)「青矢印」は筆者が追加
インフルエンザ流行マップ(国立感染症研究所 第51週 2019年12月25日現在)「青矢印」は筆者が追加
インフルエンザ過去10年間との比較グラフ(国立感染症研究所HPより)
インフルエンザ過去10年間との比較グラフ(国立感染症研究所HPより)

さて、インフルエンザと診断されると抗インフルエンザ薬を処方されることが多いですが、この抗インフルエンザ薬を飲むと異常行動を起こすというニュースを見たことがありませんか?

今シーズンもインフルエンザと診断された中学生が転落死するという痛ましいニュースが報道されました。

インフル薬服用後転落か 中学生死亡

インフルエンザ罹患中の飛び降り事故はこれまでも複数報告されており、インフルエンザに関連した異常行動の一つとして注意喚起が行われています。

このニュースの見出しには「インフル薬服用後転落か」とあり、抗インフルエンザ薬と関連がありそうな書きぶりですが、実際に異常行動は抗インフルエンザ薬と関連があるのでしょうか?

抗インフルエンザ薬と異常行動との関連は?

結論から言いますと、現在は因果関係はないと考えられています。

2007年にインフルエンザでタミフル(オセルタミビル)を服用した中学生が自宅で療養中、自宅マンションから転落死するという事例が複数報告されたことから、タミフルを始めとした抗インフルエンザ薬が異常行動の原因ではないかと考えられ、一時期タミフルの添付文書には「10代の患者には、合併症、既往歴等からハイリスク患者と判断される場合を除いては、原則として本剤の使用を差し控えること」という警告の文言が追加されていました。

しかし、10年にわたる調査の結果、抗インフルエンザ薬の服用の有無にかかわらず異常行動がみられることが分かり、現在はこの警告は削除されています。

つまり異常行動は抗インフルエンザ薬によるものというよりはインフルエンザそのものによる症状と考えられています。

異常行動としては、

・突然走り出す

・飛び降り

・会話中、突然話が通じなくなる

・おびえ・恐慌状態

・無いものが見えるという

・激しいうわごと、寝言

・わめく・泣き止まない

・暴力・興奮状態

・はねる

・徘徊

・無意味な動作の繰り返し

などが報告されています。

異常行動の例(厚生労働省のパンフレットより)
異常行動の例(厚生労働省のパンフレットより)

こうした異常行動の傾向として、

・10 代での報告が最も多い

・女性に比べて男性で報告が多い

・異常行動の発症までの日数は、発熱から2日目までの間であることが多い

・異常行動を発症するタイミングは、睡眠から覚醒した直後が多い

出典:タミフルと異常行動等の関連に係る報告書

とされています。

2018/2019シーズンでも中央値10歳で、4~18歳で異常行動がみられています。

異常行動がみられたインフルエンザ患者の年齢分布(令和元年10月29日令和元年度第9回安全対策調査会資料3-1より)
異常行動がみられたインフルエンザ患者の年齢分布(令和元年10月29日令和元年度第9回安全対策調査会資料3-1より)

同報告では性別も男性が71%と多く、9割が発熱から2日目までに異常行動が出現しています。

小児や10代の未成年者がインフルエンザと診断されたら、少なくとも発症から2日間は異常行動による事故を防ぐために、自宅で一人にならないようにしましょう。

インフルエンザによる異常行動の対策(厚生労働省のパンフレットより)
インフルエンザによる異常行動の対策(厚生労働省のパンフレットより)

具体的には、

・玄関や全ての部屋の窓を確実に施錠する

・窓に格子のある部屋がある場合はその部屋に寝かせる

・ベランダに面していない部屋で寝かせる

・一戸建てにお住まいの場合は一階に寝かせる

などです。

繰り返しになりますが、こうした異常行動は抗インフルエンザ薬の使用の有無にかかわらず見られることがありますのでご注意ください。

参考:

インフルエンザ罹患に伴う異常行動研究2019年3月31日までのデータ取りまとめ2018/2019シーズン報告

タミフルと異常行動等の関連に係る報告書

抗インフルエンザウイルス薬の安全対策について