国内初の感染例 Bウイルス病とは?

ニホンザル(写真:アフロ)

国内初のBウイルス病の症例が発生したと報告されました。

サルから感染「Bウイルス」 国内初確認

鹿児島市の動物実験施設で従業員の方が、実験用のサルから感染したとのことです。患者さんの回復を心より祈念いたします。

Bウイルス病というとあまり聞きなれない感染症ですが、一体どういった感染症でしょうか?そして私たちは日常生活でどういったことに気をつければ良いのでしょうか。

Bウイルスはサルからヒトに感染する

Bウイルスは1932年に発見されて以来、約50人のヒトの感染者が報告されている極めて稀な感染症ですが、約4割の人が亡くなっている致死率の高い感染症です。

Bウイルスはヘルペスウイルスの仲間であり、ヒトのヘルペスのようにニホンザルなどのマカク属のサルに感染し単純ヘルペスのような症状を起こした後、無症状になった後もサルの神経に潜伏します。ときにこのBウイルスが再活性化(潜伏していたウイルスが再び症状を起こすこと)し、感染源となります。

アジア地域のアカゲザル、カニクイザル、日本ザル、台湾ザルなどのマカク属のサルは半分以上がこのBウイルスが潜伏感染している状態であることが分かっています。

Bウイルス病の原因となるマカク属のサルの分布域(Wikipedia「マカク属」より)
Bウイルス病の原因となるマカク属のサルの分布域(Wikipedia「マカク属」より)

ヒトの感染者のほとんどは、サルに噛まれたり引っかかれたり、またはサルの組織や体液が針刺しや切り傷などで傷んだ皮膚に付着することで感染しています。

今回のようにサルを仕事や研究で取り扱う人もBウイルス病に感染するリスクが高いとされています。

こうした業務に関連してサルを取り扱う方以外にも、海外旅行先などでサルに咬まれたり引っかかれたりすることもBウイルス病のリスクとされます。

海外旅行中にサルに咬まれて受診する人は多い

海外旅行、特にアジアを旅行中にサルに咬まれたと受診される方がいらっしゃいますが、こうしたサルから咬まれる、引っかかれるといったことによりBウイルスに感染する可能性があります。

海外旅行中に動物に咬まれて病院を受診した方のデータをまとめた報告によると、2017年10月から2019年3月に海外で動物に咬まれて日本全国11の病院を受診した212人のうち、51%が東南アジアで動物に咬まれており、サルに咬まれた人は全体の19%を占めていました。

もちろんサルに咬まれた人がBウイルス病に罹ることは極めて稀ですが、咬まれないにこしたことはありません。

海外で動物に咬まれて受診した患者の渡航国と動物の種類(野本英俊、忽那賢志ら. 第23回 日本渡航医学会学術集会)
海外で動物に咬まれて受診した患者の渡航国と動物の種類(野本英俊、忽那賢志ら. 第23回 日本渡航医学会学術集会)

Bウイルス感染の最初の兆候は、インフルエンザに似た症状とされます。

Bウイルスに感染してから、早ければ3~7日以内、通常1か月以内に発症します。

悪寒、発熱、頭痛、筋肉痛といった症状で発症し、その後、サルと接触した部位に小さな水疱ができることがあり、進行するにつれて、ウイルスは脳へと波及し、脳炎症状を引き起こし、約4割の方が死に至ります。

Bウイルス病の予防法は?

日本で普通に生活をしていても、ほとんどの人はサルと接触する機会は少ないため、Bウイルスに感染するリスクは非常に低いです。

マカクザルがいる場所では、噛まれたり引っかかれたりしないように、サルに近づかないようにしましょう。サルに触ったり、餌を与えたりするのは危険です。

もしサルに咬まれたり、引っかかれたりしたら、どうすれば良いのでしょうか。

サル咬傷で受診する方が多いにもかかわらず、Bウイルス病は世界で50人しか感染していない極めて稀な感染症です。必要以上に恐れる必要はありません。

まずは落ち着いて、その部位を石鹸と流水で15分間以上しっかり洗いましょう。

また咬まれた状況、サルの状態、傷の状態などによっては抗ウイルス薬による予防が必要になることがあります。

Bウイルス病以外にも動物に咬まれることによって起こる感染症はBウイルス病以外にも狂犬病や破傷風などがあります。

これらの感染症の予防のための処置が必要となることもありますし、特に海外で動物に咬まれた場合は病院を受診するようにしましょう。