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MtGOXがBitcoin引き出し再開へ向けた工程を発表

楠正憲国際大学Glocom 客員研究員
17日の発表を受けて若干反発したMtGOXのBTC相場

Bitcoinの引き出し停止が続いているMtGOXは日本時間の2月17日、近日中にBitcoinの引き出しを再開する見通しが立ったと発表した。同社はBitcoinの全取引を蓄積・分析しているワレット事業者Blockchain.infoの協力を得て、支払記録の改竄を検出できる新たなシステムの構築を進めている。

手順としてはBitcoinの支払記録全て (約3200万件) のインディックスを再作成して新たなNTX ID(取引固有の識別子)を振り直し、(正当であることを確認できた取引について)新たな支払い待ち行列を作成しテストするとしている。解決策の進捗について遅くとも今週木曜までに続報を公表するとしており、実際の払い戻しまではまだ時間がかかりそうだ。

一時220USDまで下げたMtGOXのBTC相場は、この発表を受けて400USDに近い水準まで持ち直したが、依然としてBitstampやBTCeといった他の取引所と比べて6割近くの水準で推移している。先週Londonから駆けつけてMtGOX本社前で抗議していたKolin Burges氏は回答に納得できておらず、17日も抗議を続けている。

なぜ改竄検知にここまで大掛かりな仕組みを必要とするのか、BitStampと比べて事態の収拾に時間がかかっている理由など不明な点も残る。ここ数日、今回のDoS攻撃を受けて未確定の取引や取引重複の扱いについて仕様を見直すなど、Bitcoin自体の改修も進んでいる。

(追記)

17日の発表が技術的な内容に留まったことについて、MtGOXの財務状況を懸念する論調が出始めている。

Mt.Gox運営会社、財務状況に言及せず―ビットコイン引出停止で

http://jp.wsj.com/article/SB10001424052702304445404579389412719399956.html

Why Mt. Gox May Be Headed for Bankruptcy

http://www.coindesk.com/mt-gox-may-headed-bankruptcy/

国際大学Glocom 客員研究員

インターネット総合研究所、マイクロソフト、ヤフーなどを経て2017年からJapan Digital DesignのCTO。2011年から内閣官房 番号制度推進管理補佐官、政府CIO補佐官として番号制度を支える情報システムの構築に従事。福岡市 政策アドバイザー(ICT)、東京都 DXフェロー、東京大学 大学院非常勤講師、国際大学GLOCOM 客員研究員、OpenIDファウンデーションジャパン・代表理事、日本ブロックチェーン協会 アドバイザー、日本暗号資産取引業協会 理事、認定NPO法人フローレンス 理事などを兼任。FinTech、財政問題、サイバーセキュリティ、プライバシー等について執筆。

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