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VRは死なず、ただ躍進のみ…CAセガジョイポリスが新たに挑戦する「UNDEAD ARENA」とは?!

黒川文雄メディアコンテンツ研究家/黒川塾主宰/ジャーナリスト
CAセガジョイポリス UNDEAD ARENA  バトルフィールド (筆者撮影)

かくして、セガのアミューズメント施設は無くなった…

10月8日、小職のヤフー個人「From Game Till Dawn」のテキスト「VRの未来は誰のものか? 新『監視資本主義』 便利は新たな不便を生む」のなかで、2017年1月1日に、香港上場企業China Animation Groupからの出資を受け別会社になった株式会社CAセガジョイポリスをご紹介した。

さらに最近、2020年11月4日に、セガのアミューズメント(施設)系運営会社である、セガエンタテインメントが自社株式の大半を、株式会社GENDAに売却することになった。(譲渡実行日は2020年12月30日)

これにより、セガが長年保有してきたアミューズメント系施設の運営権はGENDAに移管され、この株式売却により、セガのアミューズメント施設の運営は一切合切なくなってしまったのだ。

ちなみに株式会社GENDAは、元イオン(スーパーマーケット)系のアミューズメント施設を運営する株式会社イオンファンタジーの代表取締役として活躍した片岡 尚氏(現在はGENDAの代表取締役会長)の経営によるもので、片岡氏はイオンファンタジーを大きく発展させて独立ののちにGENDAを起業し、今後は株式譲渡されたセガエンタテインメントの施設をどのように発展させるのかに注目が集まっている。

おそらくセガのアミューズメント施設とゲームを愛してきたゲームファンからすると「俺たちが愛したセガはどこへ行ってしまったのか?」と感じるのも無理もないことだろう。

また、かつて格闘ゲームの聖地と言われた東京都新宿区の「ゲームスポット21」も、2021年1月中旬を目途に閉店を発表しており、新型コロナ感染症の猛威がとどまらないなかで、他社のアミューズメント施設やゲームの動向が気になるところである。

VRでひとり気を吐くCAセガジョイポリス…

さて、本題に戻ろう…CAセガジョイポリスという組織に変わったとは言え、東京ジョイポリスの運営は変わらない。今回は、12月18日に導入された「UNDEAD ARENA」(アンデッド アリーナ)を先行して体験することができた。

写真)アンデッドアリーナ CAセガジョイポリスより提供
写真)アンデッドアリーナ CAセガジョイポリスより提供

「UNDEAD ARENA」は、当初から導入されている「ZERO LATENCY VR」(ゼロ レイテンシー ヴィーアール)の4コンテンツ目の新作である。

今回の「UNDEAD ARENA」は従来と同じゾンビものだが、コンテンツの内容はテレビの番組仕立てで、賞金を賭けて?ゾンビと対戦するというもので、最大6人のチャレンジャーが「UNDEAD ARENA」に投入され、次から次へと現れるソンビを打倒していくシューティングゲームである。

ちなみに、「ZERO LATENCY VR」シリーズは「ZOMBIE SURVIVAL」(ゾンビ サイバル)、「SINGULARITY」(シンギュラティ)、「OUTBREAK ORIGINS」(アウトブレイク オリジンズ)の3編と今回の「UNDEAD ARENA」という設定である。

特にゲーム自体が大きく変わったということではないが、グラフィックが向上したことはもちろんだが、システム面での簡素化が大きな進化のポイントだ。

従来は天井に設置された数十のセンサーシステム(カメラ)、トラッキングシステムがプレイヤーの動きを把握して、そのタイミングごとのシーンを作り出していたが、今回の「UNDEAD ARENA」からは天井のセンサーシステムが廃止され、VRヘッドゴーグルの前に配置された2機のカメラが、バトルフィールド上の幾何学的模様を検知して、その時々のフィールドとそのフィールドにマッチしたステージとゾンビの出現と挙動を制御しているものと思われる。

写真)アンデッドアリーナ 提供 CAセガジョイポリスより 一新されたバトルフィールド
写真)アンデッドアリーナ 提供 CAセガジョイポリスより 一新されたバトルフィールド

ちなみに、装備品も軽量化されているということだが、これに関しては、もともとゲームが始まってしまえばほとんど気になるものではなく、軽量化の恩恵自体は個人的には感じることができなかった。

写真)アンデッドアリーナ CAセガジョイポリスより カメラが前面に配置されたヘッドセット 撮影筆者
写真)アンデッドアリーナ CAセガジョイポリスより カメラが前面に配置されたヘッドセット 撮影筆者

おそらく今回のVRのセンサーシステム、トラッキングシステムが大幅に簡略化されたことにより、省スペース化、オペレーションの簡素化などが促進されるもので、広めのフィールドが確保しにくいフロアでもある程度のやりくりができるようになる…という点が大きなアドバンテ-ジではないだろうか。

それと過去の3コンテンツと、今回の「UNDEAD ARENA」の合わせて4コンテンツの入れ替え体験も比較的簡易になったということもあり、時間を区切ってそれぞれの4コンテンツを体験できるようになったことも大きなメリットである。

ちなみに個人的には過去3コンテンツのなかでは今回の「UNDEAD ARENA」はスピード感、グラフィックの向上、ゲーム性(エンタテインメントショウ仕立て)ということもあり、一番楽しめた。

東京ジョイポリスのアミューズメントに関しては、「UNDEAD ARENA」体験日でも個人的な肌感覚で言えば動員はインバウンドなどが好調だった最盛期に比べれば3割程度の入りではないだろうか。

同時に先に挙げたセガのアミューズメントビジネスからの大きな撤退、バンダイナムコのVRZONEプロジェクトの縮小と撤退など…前向きなニュースが伴わないが、CAセガジョイポリス社においてはVRエンタテインメントと、いつでも行けるカジュアルで、非日常的なアミューズメント体験の創出をこれからも継続して演出してほしいと思う。

東京ジョイポリス公式サイトの「ZERO LATENCY VR」

料金その他の詳細は上記ホームページよりご確認ください。

東京ジョイポリス ファサード 筆者撮影
東京ジョイポリス ファサード 筆者撮影

期間限定価格

平日:東京ジョイポリス入場料+1,500円(税込)

土日祝:東京ジョイポリス入場料+2,000円(税込)

※時期により変更する場合がございます

※パスポートチケット(入場料+アトラクション乗り放題)利用不可

※要事前予約  年齢制限:13歳以上

黒川塾 96チャンネル「CAセガジョイポリスさんの新作VRアトラクション「アンデッドアリーナ」を体験してきました」御高覧よろしくお願いします。

メディアコンテンツ研究家/黒川塾主宰/ジャーナリスト

黒川文雄 メディアコンテンツ研究家/黒川塾主宰/株式会社ジェミニエンタテインメント代表 アポロン音楽工業、ギャガ、セガ、デジキューブを経て、デックスエンタテインメント創業、ブシロード、コナミデジタルエンタテインメント、NHN Japan (現在のLINE、NHN PlayArt)などでゲームビジネスに携わる。現在はエンタテインメント関連企業を中心にコンサルティング業務を行うとともに、精力的に取材活動も行う。2019年に書籍「プロゲーマー、業界のしくみからお金の話まで eスポーツのすべてがわかる本」を上梓、重版出来。エンタテインメント系勉強会の黒川塾を主宰し「オンラインサロン黒川塾」も展開中。

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