「マライア・キャリーさん、クリスマス定番曲めぐり提訴される」というニュースがありました。言うまでもなく、「クリスマス定番曲」とは、”All I Want for Christmas Is You”(邦題「恋人たちのクリスマス」)のことです。原告はAndy Stone(芸名:Vince Vance)という作曲家、被告はマライア・キャリーとSony Music Entertainment社等です。原告は、著作権侵害として2,000万ドル以上の損害賠償の支払を求めているということです。

上記記事には、「Andy Stoneが(”All I Want for Christmas Is You”を)共同制作した」と書いてあるので、マライアの曲の共同制作者なる人が出てきたのかと思ったらそうではありませんでした。Andy Stone作曲の”All I Want for Christmas Is You”(1989年作)は、マライアの曲(1994年作)とはメロディーも歌詞も(”All I Want for Christmas Is You”の部分を除いては)全然違います(参考YouTube動画)。すなわち「共同制作」とは1989年の曲をAndy Stoneがマライアとはまた別の誰かと共同制作したというだけの意味です。

要するにタイトルが同じだからという理由で著作権侵害であると主張しているわけです。PACERに訴状(2:22-cv-01616-WBV-DMD)がアップされているので見てみましたが、「原告は”All I Want for Christmas Is You”の著作権を所有しており、被告はそれを無断で使用しているので著作権侵害および虚偽表示である」ともやっと主張しているだけで、なぜ曲も詞も全然似ていないのにタイトルかぶりだけで著作権侵害になるかの説明はされていません。米国でも楽曲のタイトルは著作物に相当しないというのが通説ですので、ほぼ確実に原告敗訴となるでしょう。ワンチャンで多少とも和解金もらえればラッキーくらいのつもりかもしれません。

ちなみに”All I Want for Christmas Is You”というタイトルもそれほどユニークというわけではなく、ASCAPの作品データベースで検索すると、マライアおよびこのAndy Stoneの作品も含めて81件ヒットします。真面目に検討してもしょうがないですが、原告は、”All I Want for Christmas Is You”のタイトルを使うだけで著作権侵害であると主張するなら、これらさらに過去の曲のタイトルの利用許諾を得ているのかを説明しなくてはいけなくなってしまいますね。