「”コロナキラー””コロナの刃” 商標登録出願相次ぐ、便乗商法と指摘も」という記事を読みました。内容は見出しのとおりです。ということで、「コロナ」という言葉を含む、最近の商標登録出願が特許庁の審査においてどのように扱われているかを調べてみました。

言うまでもないですが、「コロナ」と言う言葉自体は「太陽大気の最外層で、皆既日食の時、太陽のまわりに真珠色の淡い冠状の光として見えるもの」という意味であって、悪いイメージの言葉ではありません。ビールのブランドや冷暖房器具のメーカー名としても有名です。

ここでは、最近(2020年以降)でコロナウイルスのことを指すとしか思えない用法での「コロナ」を含む商標登録出願について見てみることにしましょう。

まず、上記事の見出しに上がっている「コロナの刃」ですが、マスクを指定商品としており、今年の4月16日に問題なく登録査定が出ています。便乗感ありありですが、鬼滅の刃との誤認混同を招くとまでは言えず、登録査定になったものと思われます。しかし、特許庁の記録では未だ登録料が払われていません。事情は不明ですが、商品化を断念したということかもしれません。

「コロナキラー」については、5件審査係属中なのですが、ちょっとややこしい状況で再先願の「コロナキラー」をどちらかというと説明的に含む商標登録出願(タイトル画像参照)に類似するとして、後願に拒絶理由通知が出ている状況になっています。しかし、殺菌剤を指定商品にして「コロナキラー」が「コロナを殺す」というそのまんまの意味(記述的商標)としての拒絶理由は出ていないので、類似先登録があるという事情がなければ、普通に登録されてしまうものと思われます。

同様に「コロナバスター」「コロナバリア」「コロナアタック」は薬剤等を指定商品にして無事登録されています。一方、「コロナストップ」「コロナフリー」「コロナファイター」「コロナ明け」等には、記述的である、あるいは、識別力がないとして拒絶理由が通知されています(拒絶が確定したわけではありません)。

境界線が微妙と思われるかもしれませんが、これは、別に「コロナ」という言葉に限った話ではなく、記述的ぽい言葉を商標登録出願する際の一般的な悩み所です。一般には、ウェブ等で既によく使われている言葉使いであると記述的である、あるいは、識別力がないとして拒絶されてしまうケースが多いと言えます。その意味では、少なくとも現時点では、特許庁は「コロナ」という言葉を特別扱いしているようには思えません。

なお、商標権は商品の普通名称や品質表示としての使用には及びませんので、仮に「コロナバスター」の商標権者が、たとえば他人の商品の「コロナをやっつけろ」というキャッチフレーズに対して商標権を行使することはできません(類似・非類似の話以前に商標権の効力の範囲外とされます)。