アマビエの絵に著作権はあるか?

出典:『肥後国海中の怪』(京都大学附属図書館所蔵)

「よく見るあのアマビエ、実は京都大学の所蔵品"所蔵館を明記して自由に使っていただきたい"」という記事を読みました。疫病退散にご利益があるという妖怪アマビエの元画像が京都大学貴重資料デジタルアーカイブに収納されているそうなのですが「この資料は二次利用自由だが、その際は所蔵館を明示するという決まりがある」ということだそうです。

アマビエの元絵は江戸時代後期に作られたとされているので、とっくの昔に著作権は切れておりパブリックドメインの状態です(だからこそ、京都大学もデジタルアーカイブで自由に公開できるわけです)。ということで、勝手に使っても著作権侵害に問われることはありません(所蔵館を明記しないと京都大学図書館デジタルアーカイブの利用規約違反にはなる可能性はありますが)。「この資料は二次利用自由だが、その際は所蔵館を明示するという決まりがある」という上記記事の引用部分は所蔵館明示を条件として著作権を許諾するかのようにも読めますが、上記利用規約をよく読むと所蔵館を明示するのは「お願い」であることがわかります。もちろん、別に理不尽なお願いではありませんので、貴重な資料のデジタルアーカイブを維持してくれている京都大学図書館への敬意を示す上でも従うべきと考えます。

一方、今、ネット上で数多く見られるアマビエの二次創作(二次的著作物)のイラスト等はどうでしょうか?これには著作権があります。二次的著作物には、原著作物の作者と二次的著著作物の作者の両方の権利が及ぶのですが、前述のとおり、原著作物の著作権は切れていますので、二次創作の作者の著作権のみが効いてくることになります。ただ、ネット上の非商用の使用であれば、いちいち作者に許諾をもらうような慣習はないので(黙示の許諾があると考えても良いでしょう)商品化なんてことになれば話は別ですが、出典を明らかにしていれば現実的には自由に使える状態かと思います(もちろん礼儀としてひと言お断わりを入れることが好ましいとは思います)。

ということで、

アマビエの原画:著作権切れなので自由に利用可能(ただし、京都大学図書館所蔵であることを明記することが好ましい)

アマビエの二次創作:二次創作者の著作権があるがネット上での非商用利用は慣習的に許容されているであろう(一方、商用使用は許諾が必要であろう)

ということかと思います。

冒頭の参照記事は、京都大学のお願いルールの話と二次創作の著作権の話が一緒に書かれているので、この点ちょっとわかりにくいかもしれません。

日本IBM、ガートナージャパンを経て2005年より現職、弁理士業務と知財/先進ITのコンサルティング業務に従事、『ライフサイクル・イノベーション』等ビジネス系書籍の翻訳経験多数 IT系コンサルティングに加えてスタートアップ企業や個人の方を中心にIT関連特許・商標登録出願のご相談に対応しています。お仕事のお問い合わせは http://www.techvisor.jp/blog/contact または info[at]techvisor.jp から。【お知らせ】Skype/Chatworkによる特許・商標の無料相談実施中です。詳しくは上記お問い合わせ先から。

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