ローランド社ビンテージ機材の商標登録の現状について

商願2018-157837公報

#小ネタです。

ツイッターでエゴサーチしていて発見しましたが、ベリンガーのTR-808クローンのドラムマシンRD-8のボタンの色の並びをオリジナルTR-808に戻す”ハック”の動画がありました。

そもそも、なぜ、ベリンガーのボタンの色の順番がローランドと逆なのかというとローランドの商標権を回避することが目的だと思われます(関連過去記事「ローランドTR-808クローンにおける商標権回避策について」)。なお、商標権が及ぶのは「業としての」使用だけなので、自分で改造して自分で使う分には問題ないですが、改造品をオークションで売ったりすると厳密にはローランドの商標権を侵害する可能性があります(現実問題としてローランドが権利行使することは考えにくいですが)。

さて、この機会に上記記事で引き合いに出した、ローランドのビンテージ機材の商標登録出願(執筆時点では審査中だったもの)が現在どうなっているか調べてみました。

まず、TR-808のボタンの色(2件目)とTB-303はいずれも登録査定が出ています。登録料も納付されているのでまもなく登録になるでしょう。

画像

しかし、TR-808と並ぶ名ドラムマシン、TR-909(タイトル画像参照)については、拒絶理由通知が出ています。

 この商標登録出願に係る商標(以下「本願商標」といいます。)は、長方形中

に、複数の操作用ノブと、複数の操作用スイッチを有する別掲の図形よりなるも

のです。

 そして、本願指定商品中、例えば、リズムマシンには、長方形の商品中に複数

の操作用ノブと、複数の操作用スイッチを有する商品が複数存在(後述の<参考

>複数のリズムマシンが掲載されたサイトのアドレスの例示、参照。)するよう

な状況等があります。

 そうすると、このような本願商標を本願指定商品中、例えば、「リズムマシン

」などに使用しても、これに接する需要者等は、当該商品の形状を理解するにと

どまることが少なくないといえますから、本願商標は、単に商品の品質、形状を

普通に用いられる方法で表示したにすぎないものと判断するのが相当です。

 したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記形状の商

品以外の商品に使用するときは、その商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあ

りますので、商標法第4条第1項第16号に該当します。

TR-808、TB-303、TR-909の審査官はみな同じなのですが、何故、TR-909だけ拒絶なのでしょうか?TR-909が一番実機のデザインに近いので消費者が「商品の形状にすぎない」と理解する可能性が高いということでしょうか?ただ、少なくとも、この商標を楽器以外の商品(たとえば被服)に使用した場合(実際、ユニクロとローランドのコラボによるTR-808のTシャツがあります)消費者が「このTシャツはドラムマシンとしても使えるのか」と誤認することはあり得ないので、4条1項16号はおかしいのではないかと(利害関係者でもないのに)思ってしまいました。

日本IBM、ガートナージャパンを経て2005年より現職、弁理士業務と知財/先進ITのコンサルティング業務に従事、『ライフサイクル・イノベーション』等ビジネス系書籍の翻訳経験多数 IT系コンサルティングに加えてスタートアップ企業や個人の方を中心にIT関連特許・商標登録出願のご相談に対応しています。お仕事のお問い合わせは http://www.techvisor.jp/blog/contact または info[at]techvisor.jp から。【お知らせ】Skype/Chatworkによる特許・商標の無料相談実施中です。詳しくは上記お問い合わせ先から。

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