3次元のように見えるが実はぺちゃんこのバッグに絵が描いてあるだけというバッグが一部で人気を呼んでいると思います。Amazon等で見ると多くの類似品がありますが、オリジナルはJumpFromPaperという台湾のブランドだと思います。

この2次元バッグの特許が米国で登録されていました。意匠登録(design patent)ではなく特許(utility patent)です。意匠権ですと特定のデザインしか保護できませんが、特許権はぺちゃんこのバッグに絵を描いて3次元ぽく見せるというアイデアそのものを保護できますので、はるかに強力な権利となります。特許番号はUS10517363、発明の名称は”2D STYLISH BAG STRUCTURE”です。出願人は、PINZAAN CO.,LTDという台湾の会社ですが、これはJumpFromPaperの商標権を持っている会社なので、本家と思われます(第三者による勝手出願ではありません)。登録は昨年の12月31日です(米国特許庁は大晦日でも業務をやっているのですね)。

クレーム1の内容は以下のとおりです。

1. A bag structure, comprising:

a first feature surface, having a first borderline that defines a first view;

a second feature surface, having a second borderline that defines a second view;

and a back surface, being disposed opposite the first feature surface and the second feature surface,

wherein the combination of the first feature surface, the second feature surface, and the back surface is structured to define the bag structure, and the first feature surface and the second feature surface are substantively on a same plane.

大雑把に訳すと以下のような感じです。

【請求項1】

第1の視点を定義する第1の輪郭線を有する第1の装飾面と、

第2の視点を定義する第2の輪郭線を有する第2の装飾面と、

第1の装飾面と第2の装飾面との反対側に配置された背面とを有し、

第1の装飾面と第2の装飾面と背面との組み合わせがバッグ構造を定義し、

第1の装飾面と第2の装飾面とが実質的に同一平面状にあるバッグ。

かなり広い範囲で特許化できています。

しかし、気になるのは、JumpFromPaperによるこの種の商品が市場に登場したのは約10年前であることです(10周年記念セールをやってるくらいなので)。この特許出願の実効出願日(優先日)は2016年なので新規性がないのではないかと思います。審査経過を見ると、ある特許文献により進歩性が否定されています(その後意見書により挽回)が、同社の商品の存在についてはまったく触れられていません。一般に、審査官は特許文献を中心に先行技術を探しますが、見落としてしまったのでしょうか。それなりに話題になった製品だと思うのですが。

日本IBM、ガートナージャパンを経て2005年より現職、弁理士業務と知財/先進ITのコンサルティング業務に従事、『ライフサイクル・イノベーション』等ビジネス系書籍の翻訳経験多数 IT系コンサルティングに加えてスタートアップ企業や個人の方を中心にIT関連特許・商標登録出願のご相談に対応しています。お仕事のお問い合わせは http://www.techvisor.jp/blog/contact または info[at]techvisor.jp から。【お知らせ】Skype/Chatworkによる特許・商標の無料相談実施中です。詳しくは上記お問い合わせ先から。

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