以前にニュース等で話題になった商標登録出願の現在についてまとめてみました。

まず、懐かしい佐野エンブレム(商願2015-070541)(タイトル画像参照)ですが、まだ審査中です。出願から2年近く経ってますのでちょっと時間がかかりすぎですが、権利化してもほとんど意味がないので特許庁も忖度して審査を後回しにしているのかもしれません。五輪委員会も出願を取下げればよいと思うのですが、そういうプロセスは想定していなかったので現状で続けるしかないのでしょう。登録されると(45区分全部指定していることから)130万円弱の登録料が発生してしまいますが、これも予算が取ってあるのでこのまま支払われるのでしょうね。

新エンブレム(商願2016-46827等)もまだ審査中です。出願から1年強経っているのでそそろそろ登録されてもよいタイミングです。しかし、商標登録の話とは別にこのエンブレム、街中にあると全然目立たないですね(個人の感想)。従来の五輪エンブレムがほぼ例外なく原色系の組合わせで作られていたのは意味があったのだなあと思いました。

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その他の最終候補作(商願2016-40446等)もすべてまだ審査中です。これらも登録まで持っていってそれぞれ130万円弱の登録料が支払われることになるのでしょうか?(まあ130万円なんてオリンピックの予算から見たら微々たるものでしょうが)。

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次に、色彩のみの商標です。トンボ鉛筆のMONO消しゴムの色使いとセブンイレブンの看板の色使いが最初の登録例になった件については、今年の3月に既に書きました

しかし、それ以降は登録例が出ていません。しかも、出願のタイミングは一番早かった久光製薬の(サロンパスのパッケージの色合いと思われる)出願(商願2015-029831)には拒絶査定が出ています。一般的に色のみを商標登録することは強力な独占権なので、消費者の中で「この色と言えばあの製品(サービス)」という識別力が相当に発揮されていないと登録されません。サロンパスでも厳しかったということになります(割と似たような色合いの他社製品が多いことが問題だったのかもしれません)。

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同様に円谷プロダクションによる以下の色の出願(商願2015-29855)にも拒絶査定が出ています。確かにウルトラマンを想起はさせますが、この色で円谷プロが製品・サービスを展開しているわけではないのでちょっと厳しかったかと思います。

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また、音のみの商標については、CMで使われるサウンドロゴ的なものはどんどん登録されています(現時点で140件強)。しかし、以前も書いた大幸薬品の正露丸のCMで使われている軍隊ラッパのメロディ(商標 2015-029809)についてはまだ審査中です。個人的には識別力は十分にあるのではと思っていたのですが、ありもののメロディ(仮に著作権切れであっても)を商標登録するのはハードルが高い運用がされていることが伺われます。

【追記】前々回書いたKISSのジーン・シモンズによる指サイン(メロイックサイン)の出願ですが、6月20日付けで本人により出願が放棄されています。おそらくいろいろ批判を浴びたので無理に商標権を取得しても得することはないと判断したのでしょう。

【追記^2】これもちょっと前に書いたドナルド・トランプ氏の謎ワード”covfefe”、当該記事執筆時はまだ米国での商標登録出願状況が明らかではなかったのですが、今チェックしたら34件出願されてました。ひょっとしてトランプ氏本人の出願はあるかもと調べましたが、さすがにそれはなかったです。

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日本IBM、ガートナージャパンを経て2005年より現職、弁理士業務と知財/先進ITのコンサルティング業務に従事、『ライフサイクル・イノベーション』等ビジネス系書籍の翻訳経験多数 IT系コンサルティングに加えてスタートアップ企業や個人の方を中心にIT関連特許・商標登録出願のご相談に対応しています。お仕事のお問い合わせは http://www.techvisor.jp/blog/contact または info[at]techvisor.jp から。【お知らせ】Skype/Chatworkによる特許・商標の無料相談実施中です。詳しくは上記お問い合わせ先から。

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