2015年度のアクセス数トップ10記事はこんなかんじでした

年初企画ということで、昨年の自分の記事アクセス数トップ10をまとめてみました。全部知財系(特に著作権)ですね。アクセス数で比較するとどうしても一般うけする知財ネタが中心になってしまいます。

10位:アップルを訴えた島野製作所の武器になった特許とは?(2014/10/26)

2014年秋に書いた記事ですが、今でもコンスタントにアクセスがあります。強力な特許があれば中小規模企業が超巨大企業と対等に戦うことができることを示したニュースでした。その後裁判についてはあまり報道がないですが続いているのだと思います。また、島野の特許5449597号に対してアップルが無効審判を請求していますがネットからは詳細情報がわかりません。余談ですが、この無効審判の島野側の代理人は「下町ロケット」の神谷弁護士のモデルといわれている鮫島正洋先生です(訴訟の方もそうなのでしょう)。

9位:JASRACの独占が崩れると何が起きるのか?(2015/10/19)

イーラインセンスとJRCの経営統合に関する記事。競争の激化による利便性の向上はあるだろうが価格破壊のようなことにはなり得ないだろうと書いています。まさに、現在進行中の話であり、今後長期的な日本の著作権管理制度の変革の始まりになるのではないかと思います。

8位:楽器に網をかけて演奏できなくするJASRACについて(2015/01/26)

ちょっと釣タイトルぽかったですね(笑)。中身は、著作権に固有の救済規定である差止請求権の話。著作権は差止めも、そして場合によっては警察権力の介入も、刑事罰も適用される強力な権利です。だからこそ過剰な権利行使が許されるような法改正が行なわれないようなウォッチが必要です。

7位:アナ雪のショーで活用できそうなディズニーの楽しい特許が成立(2015/1/22)

静電気を使った舞台効果に関する特許です。実際に使ってるのかどうかはわかりません。これ以外にもディズニーはおもしろい特許を多数出願しています。「ディズニーの強力なドローン特許があっと言う間に成立」(2015/01/12)なんて記事も書いているのですが、こちらのアクセス数はそれほどでもなかったです(やはり「アナ雪」とタイトルに入れたのが大きかったのでしょう)。

6位:鳥貴族の鳥二郎商標に対する異議申立は認められず(2015/06/25)

鳥貴族側が請求した商標登録異議申立が不成立だった話しです。本文中に「裁判の話とは別」と書いたにもかかわらず、裁判の話しとごっちゃになっているコメントが見受けられたのでフォローアップ記事「鳥貴族vs鳥二郎:商標登録異議申立と裁判の関係について」を書いています。裁判の方は結局条件非公開で和解となりました。情報があまりないのですが、フォローアップ記事を書いています。

5位:トートバッグデザインパクリ事件で学ぶ著作権侵害の基礎(2015/08/17)

2015年8月のMVA(Most Valuable Article)のひとつに選出していただいた記事です。てっきりこの記事がアクセス数も1位かと思っていました。佐野研二郎デザイン監修によるトートバッグのパクリ問題を題材に、明らかに著作権侵害、グレーゾーン、明らかに非侵害のケースをまとめてみました。著作権における「類似」判断は結構難しい問題ですが、皮肉にもわかりやすい教材となったと思います。余談ですが、この記事がTBS「ひるおび」等へのテレビ出演に結びつき、貴重な体験をさせていただきました。

4位:ダイソーで売っているiPhone用Lightning充電ケーブルとアップルの特許について(2014/12/19)

今でもたまにアクセスランキングに入ることがある長期人気記事です。敢えて片面でしか使えないようにすることでコスト削減と特許権回避を両立させた「逆転の発想」です。その後、中の人からの情報で特許権回避は意図的であることがわかっています。また、実用新案登録もしているということがわかりました。この件につきフォローアップ記事を書いています。

3位:フジテレビがパロディネタにしたTEDの商標登録について(2015/07/09)

TEDが権利関係うるさいと言われているわりには日本では商標登録出願をしていなかった(韓国ではしているのに)という話。そうこうしているうちにTEDの商標登録を東和薬品に先に取られてしまっていました。ちょっとおそまつでしたね。

2位:早すぎた「自撮り棒特許」について(2015/01/14)

自撮り棒(セルフィースティック)の特許を1985年にミノルタが出願していたという話です。こぼれ話的な話ではありますが、特許化が早すぎて実際のビジネスがついてこないとあまり意味がない(特許とビジネスの整合性が重要)ということを示す良い事例の一つではないかと思います。

1位:店でBGMを流したいがJASRACに金を払いたくない場合にはどうしたらよいか(2015/06/15)

これもちょっと釣りタイトルでしたね(笑)。JASRACをタイトルに入れるとアクセスが明らかに増えます(JASRACは数字持ってますw)。しかし、中身は初学者が間違いやすい著作権法38条3項後段の解釈に関するまじめな記事です。要は、テレビ・ラジオ放送を通常の受信装置で流す分には(たとえ営利目的でも)自由にできるという話です。この件、ラジコなどのラジオ放送と同時再配信するタイプのインターネットラジオだとどうなるのかをJASRACに取材してフォローアップ記事を書いています。38条3項については放送波によるラジオと同様に扱われるようです(つまり、ラジコを通常の受信装置で流す分にはJASRACとの契約は不要です)。ただし、放送地域外のラジオ番組が聴けるラジコプレミアム版等では、営利利用することによりユーザー規約に違反する可能性はあります。

今年も知財とITを中心におもしろくてためになる記事を書いていきたいと思いますのでよろしくお願いします。本業である弁理士とITアナリストの方でもよろしくお願いいたします。

日本IBM、ガートナージャパンを経て2005年より現職、弁理士業務と知財/先進ITのコンサルティング業務に従事、『ライフサイクル・イノベーション』等ビジネス系書籍の翻訳経験多数 IT系コンサルティングに加えてスタートアップ企業や個人の方を中心にIT関連特許・商標登録出願のご相談に対応しています。お仕事のお問い合わせは http://www.techvisor.jp/blog/contact または info[at]techvisor.jp から。【お知らせ】Skype/Chatworkによる特許・商標の無料相談実施中です。詳しくは上記お問い合わせ先から。

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