当然ですがiPhone6sの3D Touch機能は特許出願済です

(写真:ロイター/アフロ)

iPhone6sの重要な新機能にタッチディスプレイが圧力を認識してくれる3DTouch機能があります。Apple Watchで既に採用されていた機能ですが、タッチディスプレイを指で強く押すことで別の処理を呼び出すことができます。たとえば、メールを軽くタッチすると中身をポップアップ表示、強く押すことで開くなどの直感的な操作が可能です。

フリック操作やピンチズーム操作がスマホのエクスペリエンスをまったく変えてしまったように、3DTouchもスマホにあるのが当たり前(ないと困る)の機能になっていくでしょう。

ここで、気になるのはAndroid陣の対応です。先週発表された中国ファーウェイ(Huawei)のMate Sというスマホが3DTouchと同等機能であるForce Touch(感圧タッチ)をサポートしているようです(プレスリリース)が、まだそれ以外の動きは見られません。

そして、当然ではありますが、アップルは3D Touchの特許を出願しています。感圧ディスプレイのハード自体は公知であっても、それを使ったジェスチャーのアイデアは特許化できる可能性があります。おそらく最もメインとなる出願が国際出願"DEVICE, METHOD, AND GRAPHICAL USER INTERFACE FOR TRANSITIONING BETWEEN DISPLAY STATES IN RESPONSE TO GESTURE "(WO/20131/69870)です。少なくとも米国、カナダ、オーストラリア、EPO(欧州)、日本に国内移行されています。日本の公開番号は、特表2015-519655号です。いずれの国でも審査が始まったばかりで権利化まではまだ時間がかかるでしょう。出願日は2013年5月、優先日は2012年5月です。

日本での出願の請求項1は、以下のようになっています。

【請求項1】

タッチ感知面及びディスプレイを備えた、前記タッチ感知面との接触の強度を検出するための1つ以上のセンサを含む、電子デバイスにおいて、

前記ディスプレイに、第1の表示状態のユーザインタフェースを表示することと、

前記タッチ感知面上のそれぞれの接触の強度の検出を含む、前記タッチ感知面上のジェスチャの第1の部分を検出することと、

前記ジェスチャの前記第1の部分の検出に応答して、前記第1の表示状態と第2の表示状態との間の中間表示状態を表示することと、

前記ジェスチャの終了を検出することと、

前記ジェスチャの前記終了の検出に応答して、

前記ジェスチャの前記終了を検出する前に、前記それぞれの接触の前記強度が既定の強度閾値に達したという判定に従って、前記第2の表示状態を表示することと、

前記ジェスチャの前記終了を検出する前に、前記それぞれの接触の前記強度が前記既定の強度閾値に達しなかったという判定に従って、前記中間表示状態の表示を終了し、前記第1の表示状態を再表示することと、

を含む

ことを特徴とする方法。

画像

簡単に言えば、ディスプレイの押す強さを高めていくとと強く押した時の表示と弱く押した時の表示の間の中間的表示(おそらく、何らかのアニメーション)が表示され、その後強さが一定値を越えていれば強く押した時用の表示を行なう(超えていなければ弱く押した時用の表示に戻す)という方法です。中間的表示がないと、ユーザーにとっては、押す圧力によって表示がまさに切り替わろうとしているのだというフィードバックが得られませんので、結構使いにくいと思います。

もちろん、このように広い範囲での権利化は困難(実際、国際調査報告でも進歩性なしとの判断がされています)なので、今後、各国で限定する補正が行なわれていくでしょう。補正では明細書に最初に書いてある内容であれば何でも追加できますので、最終的にどのような形で権利化されるか(あるいは、されないか)はまだ読みにくい段階です。Android陣営メーカーとしてはうかつにデッドコピーするとまた特許訴訟という話になってしまうリスクがあるので判断がむずかしいタイミングです。

そして、当然ではあるのですが本特許の明細書はアップル入魂で非常に内容が厚く、図面だけでも220枚もありますので、どこの部分が権利化されるのかを判断するのはなかなか大変だと思います。前述のHuaweiのプレスリリースを見てもForce Touchが提供されるのは一部の市場だけなようなので、ひょっとすると特許権侵害を起こすとやっかいなことになりそうな国(典型的には米国)では機能をはずしているのかもしれません。

日本IBM、ガートナージャパンを経て2005年より現職、弁理士業務と知財/先進ITのコンサルティング業務に従事、『ライフサイクル・イノベーション』等ビジネス系書籍の翻訳経験多数 IT系コンサルティングに加えてスタートアップ企業や個人の方を中心にIT関連特許・商標登録出願のご相談に対応しています。お仕事のお問い合わせは http://www.techvisor.jp/blog/contact または info[at]techvisor.jp から。【お知らせ】Skype/Chatworkによる特許・商標の無料相談実施中です。詳しくは上記お問い合わせ先から。

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