Googleイメージ検索は類似マークの検索には無力である件

(写真:ロイター/アフロ)

東京オリンピックエンブレムの類似マーク問題はしばらく揉めそうです。JOC側は登録商標の調査はしている(これは当然)とのことですが、それだけでは十分ではありません。著作権は登録なしで発生するからです(マークの著作物性の話、偶然の一致であれば著作権侵害にならないという話はありますが別論)。

なお、OHIM(欧州共同体商標意匠庁)の商標検索サービスTMViewで調べた限り、少なくともリエージュ劇場名義では当該マークは登録されていません(一部、登録されているという報道があったようですが、リエージュ劇場側のデザイナーか記者の勘違いでしょう)。

しかし、本当に重なポイントは、知的財産権を侵害するかしないか、および、故意か偶然の一致か等ではなく、余計なケチが付かないように既に世の中で使われているマークに似ているものはいずれにせよ避けておくべきということだと思います。

世の中で使われているマークをくまなく調べるのは大変そうですが、IT系の知識がある人であれば「グーグルイメージ検索を使えばいいんじゃないか」と思うかもしれません。グーグルイメージ検索には、イメージ・ファイルを指定するとそれに似たイメージをWebから検索してくれる機能(リバース・イメージ・サーチ)があります。これを使えば、少なくともネット上で使われている類似マークは検索できそうです。

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しかし、実際に東京オリンピックのエンブレムのイメージ(下の五輪部分はカットしました)を使って類似イメージ検索したところ、件のリエージュ劇場のマークは検索されませんでした。というより、似ても似つかないイメージばかりがリストされます(下に挙げたのは最初にリストされた一部です、これ以降はさらに似なくなります)。

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こんなマークもリストされましたがいったいどこがオリンピックエンブレムに似ているというのでしょうか?

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色情報の重み付けが強すぎるのではないかと思い、黒一色でもやってみましたが、同じく似ても似つかないイメージばかりがリストされます(白黒反転しても同様です)。

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グーグルが提供するサービスなのでニューラルネットで特徴点を抽出してというような高度な機械学習的な処理をやってるかと思ったのですが、単に色の分布だけを見ているような印象です。写真であればもう少しまともな結果になるのかもしれませんが、類似マークやロゴの検索には現状のグーグルイメージ検索は無力といってよさそうです。

一般的に言って、類似マークの精度の高いWeb検索を実現できれば結構なニーズがあると思います。特に、商標関係者にとっては大きな価値があるでしょう。マークに特化してニューラルネットを学習させれば実現は可能に思えます。私がもう少し若くてグーグル社員だったら「20%ルール」を活用してそういうサービスを作るのになあなどと思ってしまいました。