新型コロナ禍でWRCの将来が混沌としてきた。トヨタどう動く?

写真/Gazoo

トヨタTMRは新型GRヤリスベースのWRカーを2021年に投入しないと発表した。本来なら2021年夏までに2万5千台を生産し、8月のWRCフィンランドで投入を予定していたと思う。なぜ2021年夏の投入を見送ったかについて明確な説明はないけれど、新型コロナ禍が遠因であることは間違いない。おそらく2021年8月までに2万5千台を作れない可能性が出てきたんだろう。

開発は新型コロナ禍によるテスト中断期間の設定により多少の遅れが出ているものの、来年8月まであれば追いつく。一方、生産状況を見ると新型コロナ禍による部品供給や工場稼働率などの問題が出ており、只でさえギリギリの生産計画だったのに間に合わない可能性出てきたんだと予想します。巷間「思ったより売れていないから」は違う。売れなくても生産すればいいだけですから。

写真/GazooTMR
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次なる「どうする?」が2022年からWRカーのレギュレーションが大きく変わること。来年までは1年間に2万5千台生産されたボディを使う規定。けれどWRカーに参戦するメーカーが減り、今や純粋なワークスはトヨタと現代自動車だけになった。FIAも危機感を持ったのだろう。2022年から2万5千台規定を止め改造自由に。例えばスバルならXVのボディを短くしたWRカーを作ってよい。

またエンジンは相変わらずGRE(競技用に生産される1600cc4気筒直噴ターボ)を使わないとならないが、ハイブリッド義務付けになります。このあたりまで聞くと、WRCファンなら徐々に興味を無くしていくと思う。なにしろ売ってもいないボディのクルマに、売ってるクルマと全く関係の無いパワーユニットを組み合わせるということですから。もはやラリー車と言えない?

写真/シトロエン
写真/シトロエン

トヨタがせっかく専用ボディとして作ったGRヤリスの意味も無くなります。そもそも新型コロナ禍で業績悪化し四苦八苦しているプジョーやシトロエン、ルノー、スバルなどの自動車メーカーが、市販車と全く違う車両を使うWRカーのWRCに戻ってくるとは思えないです。また、トヨタ1メーカーしか出てこないようなことになったら、ル・マンと同じくクルマ好きはソッポを向く。

ラリーファンとして望ましいのは、現在の『R5』を少しバージョンアップした車両をトップカテゴリーにすること。32口径になっているリストリクターを34口径くらいにすれば280馬力から340馬力くらいになるし、空力パーツの使用制限を緩和することで5年前のWRカーと同じくらい速くなると思う。見ていて十分楽しめ、迫力だって感じる車両になるだろう。

写真/Mスポーツ
写真/Mスポーツ

R5車両なら現時点でフォード、シュコダ、現代自動車、シトロエン、VWと5メーカーが作っている。その気になればプジョーとルノー、プロトン、起亜自動車、そしてトヨタもGRヤリスベースで作れます。これだけ多くのワークスが出てくると大激戦必至! 盛り上がっている間に、電気自動車クラスや燃料電池クラス、ハイブリッドクラスを作ればいいと思う。

FIAはもう少しファンの気持ちを考えて欲しい。