ローマ教皇の専用車『パパモービル』とは?

燃料電池車『MIRAI』のパパモービル(写真:ロイター/アフロ)

驚いたことにローマ教皇の特別車『パパモービル』(パパモービレ)は燃料電池車MIRAIでした。しかも! 長崎で使われた翌日、東京ドームにも登場。飛行機を使い運んだのかと思っていたら、2台作ったとのこと。また到着した日の東京で移動用として使われたMIRAIと長崎で移動用として使われたMIRAIを含め、全てナンバープレートは『SCV 1』。どういうことなのか調べてみました。

ちなみに非常に特殊なクルマのため、情報源は秘匿させて頂きます。言うまでもなく自動車メーカーにとってローマ教皇の専用車を担当するということは素晴らしい栄誉である。したがって自動車メーカー側から謹呈しますと提案しても基本的に断られるという。「今回は8月くらいに先方から環境にやさしいクルマで教皇専用車を作ってくださいませんかという連絡を頂きました」。

トヨタに「環境対応車」というリクエストをすればMIRAIしかない。ということから、最初からMIRAIを考えていたのだろうと推測されます。連絡を受けたトヨタ側はローマ教皇がお乗りになる日を11月24日と聞き、即座に時間的な余裕の短さを考えたという。けれど「これほど名誉のある依頼などありません。謹んで承ることにしましたが、どうやって作るか大いに悩みました」。

11月24日まで秘匿しなければトヨタの宣伝のように思われてしまいローマ教皇にご迷惑を掛けるということから、外部に委託することを諦めたそうな。そこで考えたのは、新型車の試作車を作る部門。試作車は機密中の機密。絶対に情報漏れはない。ただ試作車を作るスケジュールが埋まっており、パパモービルを作る時間もなさそうだったという。無理を承知で依頼したら「やりましょう」。

社内にもパパモービルをトヨタで作っていることを知っていた人は非常に少なかったらしい。パパモービルのスペックについては先方から使用条件や図面など届いたのだけれど、今まで基本的に商用車やSUVがベース。乗用車として作られたMIRAIの最後部に体格の良い護衛官を2~3人乗せるサスペンションにするなど苦労したとのこと。細部に至るまで、試作部が細心のケアしたようだ。

前述の通りナンバープレートは全て『SCV 1』。ステート・シティ・バチカンの略で「バチカン市民1」という意味。ローマ教皇の専用車用ナンバーです。調べてみたらオープンモデルの2台は限られた場所しか走らないため車検なし。移動用に使われた普通のMIRAIは車検あるクルマに『SCV 1』のナンバーを付けたそうです。もちろん外務省や国交省、国家公安員会の了承済み。

とはいえアメリカ大統領ですら青いプレートに『外』から始まる4桁の数字(ただ2台とも同じ数字です!)を付けた日本のナンバーを付けている。我が国に於けるローマ教皇の表敬度合いはアメリカ大統領専用車ビースト1より少し上位ということで、なかなか粋な判断だと思います。気になるのがパパモービルの今後。トヨタに聞くと「先方の指示を待って決めようと思います」。

可能性としては1台をバチカンに運び博物館に展示し(すでにランクル40のパパモービルがある)、もう1台は許されれば愛知県のトヨタ博物館に展示するといったあたりでしょう。ローマ教皇は地球環境もご心配されている。「2酸化炭素を排出しないパパモービル」ということで、水素ステーションのある国に行く際はお使いになって頂くのも良いと考えます。