自動運転車の事故の映像が公開されました。驚くことに機械もドライバーも被害者を確認しておらず

3月19日の夜間に発生した自動運転車の死亡事故の動画が公開された。車両前方の様子と、監視のため運転席に座っていたドライバーの様子を記録していたもの。車両についての情報だけれど、制限速度35マイル(約56km/h)の区間を38マイル(約61km/h)で走行しており、衝突するまで減速していないことが公表されている。つまりウーバー車のセンサーは歩行者を検知出来ていなかった。

動画を紹介しているWebサイト

事故を起こしたウーバー車に付いていた前方を監視するセンサーは大きく分けて三つ。人間の目と同じ情報が入ってくる「光学カメラ」と、電波を発して前方の障害物を検知する「レーダー」。そして最も重要な役割を果たすのは屋根の上に装備される高機能タイプの「走査型ライダー」(赤外線レーザー)。この3つのセンサーで前方のあらゆる”物体”を検知し、適切に対応するシステムになっている。

まず光学カメラだけれど、公開された動画を見ると左側が少し暗いため能力的に見えるかどうかギリギリだったかもしれない。レーダー波は前方に向かっているため、横切る物体の認識能力という点で苦手と考える。ただ走査型ライダーなら十分キャッチ出来る状況。日産やトヨタも走査型ライダーを使っており、開発担当者に聞いてみたら「こういった対象物を検知するためのセンサーです」。

走査型ライダーは真っ暗でも検知能力は落ちない。映像を見る限り、走査型ライダーの苦手な状況となる濃霧や豪雨でもなく、基本的に検知出来ていただろう。最悪の場合、搭載している3つのタイプのセンサーの2つは「問題無し」と判定し、ライダーのみ「何かある」という情報を出していたと考えていい。けれど総合判断は「大きな問題無し」と判定し、全く減速しなかった。

自動運転車でなければどうだったか? クルマに乗っている人なら解る通り、夜間の道路を自転車を押した人が渡ろうとしていれば発見出来る。しかもアメリカでの制限速度35マイル区間といえば、基本的に人が車道を横切る可能性のある市街地だ。日本なら40km/h制限といったイメージ。けれど今回自動運転車の運転席に座っていた人は事故の直前まで前方を見ていない。

実際、今回の車両は『レベル4』の自動運転車であり、運転の主体はクルマにある。『レベル3』までなら運転の主体がドライバー。常時クルマの状況を監視し、問題あればすぐ運転操作しなければならない。レベル4になると基本的によそ見していても大丈夫という規定。そもそも今回は無人運転に向け実証実験中の車両。本来ならあり得ない事故ということになる。

我が国は2020年に自動運転車を走らせると言っているが、今回の事故で一般道の運用は大きな制限を加えられ難しくなるかもしれない。ただANAとソフトバンクで始めた、空港内の運用(ターミナルからエプロンに駐機している飛行機まで)とか、鉄道の廃線を道路にしているバスのような形態なら安全性を確保出来るため実現出来ると思う。安全が確保出来る状況から実用化していくべきだろう。