中国の吉利汽車がベンツの筆頭株主に! 狙いは?

驚いた! 何とダイムラー(注)が「吉利汽車はダイムラーの発行株式の9.69%を取得した」と発表したのである。この件、ダイムラーが吉利汽車に株式を売却するという友好的な資本提携では無い。むしろ吉利汽車からの申し入れを拒否していたのだった。すると吉利汽車は市場で株を買いまくったのである! 結果、9.69%という『主要株主』の10%に肉薄することになった。もちろん筆頭株主である。

注・日本では「ベンツ」ブランドで知られる会社の正式名

おそらく吉利汽車は買い足しで10%にすると思う。10%になっても決定的な影響力こそ持てないものの(ダイムラーの業績が悪化したときなどは経営陣の解散請求権など行使できる?)、かといって無視出来ない存在になる。ダイムラー、さぞやショックだったことだろう。日本で言えばホンダ技研の筆頭株主が中国の企業になるようなもの。

購入総額約1兆円。すでに吉利汽車は2010年にフォードからボルボの乗用車部門を2000億円で譲り受けたり、東南アジア最大の自動車会社であるプロトン(マレーシア)の株式を49.9%取得したりと、次々に勢力を拡大している。なにより今後ダイムラーの株主配当の10%を受け取れるというのだからインパクト大! 多少言葉使いは悪いけれど、優秀なドイツ人に稼がせようとしてるのだった。

指導者の判断で大変化もあり得る中国の民間企業にとって、将来的な安定性を求めようとすれば最も確実なのは海外の実力ある企業への投資だと思う。報道を見るとダイムラーの技術を盗もうとしているなどの記述も見られるが、10%程度の主要株主にそんな権限などない(今後の買い増しも難しくなると思う)。当面の狙いは、強い影響力を持ちつつダイムラーに稼がせようというのが狙いだと考える。

例えば吉利汽車が中国で「ベンツの代理店をやりたい」と言ったら話を聞かなければならないし、部品や完成車の流通ルートで何らかの提案を受け、コスト的にも有利なら便宜を図るなどの付き合いはしなければなるまい。

こうなると心配なのが日本の企業だ。日本の企業の株式を中国の企業に大量所有されたら、稼いだお金を中国に献上するということになる。それが株式会社なのだから仕方ないけれど、なんとなく釈然としない。そういった感情をドイツ人は持った、ということを理解して頂ければ、と思う。