パナソニック、企業存続をかけトヨタと自動車用電池で協業へ

トヨタとパナソニックが自動車用電池を協業すると発表した。これは「パナソニックが電池に将来をかける」ことを意味する。詳しく説明しよう。自動車用電池に於けるトヨタとパナソニックの関係は初代プリウスに始まった。それまで実績が無かった大容量のニッケル水素電池を共同開発。大量生産したのだ。

とはいえ技術的なハードル高く、初代プリウスの初期型に搭載された電池は全て課題を抱えてしまう。結果、全てのプリウスの電池を交換することになった。信頼性を取り戻すため、初代初期型プリウスの電池について「生涯補償」としたほど。トヨタが新しい世代の電池導入に慎重なのは、この件の反省である。

当然の流れで、ニッケル水素電池の次の世代にあたるリチウムイオン電池もパナソニック主体で開発することになる。ここでパナソニックが決定的なミスをした。電池の正極材としてGSユアサなどは「性能低いけれど安全」なマンガンを選んだものの、パナソニックは「性能高い反面、発火など危険性ある」ニッケルを選ぶ。

結局トヨタの安全ニーズに答えられず失敗。パナソニックは開発の遅れを取り戻すため、マンガン正極のリチウム電池を開発していたサンヨーを買収し、電池部門だけ残して売却するという荒技に出る。もちろん開発期間も延び、価格競争力だって無し。これでトヨタとの関係が冷え込んだ、と言われている。

その後、パナソニックはテスラに将来を託す。1500億円と言われる巨額の投資を行い、テスラ用の電池工場をアメリカのネバタに作った。順調なら今頃フル生産に入っているのだけれど、テスラの新型車『モデル3』の生産が上手く行っておらず開店休業状態。テスラそのものの将来性にも黄信号点いた。

この工場が収益を生んでくれないとパナソニックとしては非常に厳しい。そして経営陣も「厳しい」と判断したんだと思う。改めてトヨタに将来を託すことにした? パナソニックからすれば失敗が許されない「背水の陣」と言ってよい。ここで自動車用電池の生産に乗り遅れたら、企業規模の縮小しかない。

トヨタとしても、2018年から厳しくなるアメリカの電気自動車導入規制や、2019年に始まる中国の電気自動車規制に対応するため高い性能の電池が必要。他の企業から購入することも出来るけれど、付き合いの長いパナソニックが社運を掛けて勝負に出るなら一緒にやりましょう、ということなんだと思う。

トヨタだけでなく電気自動車の開発でタッグを組むマツダやスズキも自動車用電池が必要。そして高性能リチウム電池の向こう側に、次世代の全固体電池(リチウムより数倍の性能を持つ電池)も見えている。押され気味だった日本の電気自動車対応は、新しい方向に向かい始めたようだ。