ベンツの排気ガス不正、被害者は汚染物質を吸わされる私たち

今までのディーゼル排気ガス不正問題は日本からすれば「対岸の火事」だった。VWの場合、日本でディーゼルを販売していなかったため、実質的な被害や影響も無し。しかし今回メルセデスベンツで発覚した排気ガス不正はリリースによれば日本で販売された全てのメルセデスベンツのディーゼルが含まれると考えていい。

ちなみに日本で販売されているメルセデスベンツの20%程度がディーゼルのため、対象となる車両も多い。加えて不正の内容が公表されていない上、どの程度の汚染物質を出すのかも不明。メルセデスベンツ日本は「クリーンなディーゼル」というアピールをしていたが、汚い排気ガスを撒き散らしているということになる。

驚くべきはメルセデスベンツ日本の対応。本来、こういった事案は排気ガスについて許認可を出した国交省に対し状況説明し、どういった対応をするか決めなければならない。なのにメルセデスベンツ日本は早い段階で「日本で販売されているディーゼル車は制御ソフトもハードも異なるためとりあえず関係ない」というリリースを出した。

しかもメルセデスベンツ日本のリリースを信じ、裏取りしなかったメディアは「日本は該当しない」と報じた。実質的な加害者なのに当事者意識が薄い。排出される汚染物質次第では健康被害を出す(現時点でも不明)。ヨーロッパで問題とされている不正の内容を本国に問い合わせ、いち早く正確な情報を出すべき。

5時間後に追加のリリースを出したが、最初の間違ったリリースについて詫びるどころか「日本で該当車があるか未定」という内容のみ。なぜ第一報でミスをしたのかという説明も無し。あまりに日本人(今回の場合、被害者はメルセデスベンツのユーザーでなく汚染された排気ガスをすわされる日本国民)を軽視している。

さすがに国交省も勝手なリリースに怒ったのかもしれない。もう少し正確に書くと、2本目のリリースが出た時点で怒っている国交省関係者が少なくなかった。驚いたことに翌日の深夜23時32分に3本目のリリースを出している。この時間にリリース出すの、異例のこと。内容は「日本でもサービスキャンペーンを行うと本国から連絡があった」。

ここでも国交省を無視している。「サービスキャンペーン」と勝手に決めているのだ。強制力を伴うリコールにするか、自主的なサービスキャンペーンにするかは、内容を見て国交省と決めること。メルセデスベンツ本社や、メルセデスベンツ日本が勝手に決める問題では無い。徹底的に日本を下に見ているように感じる。

当然、日本で販売されていたディーゼルエンジンも日本の排気ガス基準を超える汚染物質を出すということになる。気になるのは「どんな」汚染物質をどんな時にどの程度出すのか」ということ。排気ガスを出しやすいのは触媒の冷えている始動直後。ここの排気ガスを不正したのなら、始動直後の排気ガスは吸わないようにすべきだ。

また、アクセル全開時に触媒の能力を超えるため汚染物質を出すということであれば、ユーザーだって環境に負荷を掛けない乗り方をしてくれることだろう。いずれにしろ情報なしだといかんともしがたい。メルセデスベンツ日本は可及的速やかに汚染物質の情報を出して頂きたい。