小さい小さいスバル360、アメリカ縦断レース完走! 特別賞を2つも獲得!

フロリダからカナダ国境のミシガンまで4200kmを9日間掛けて走る全米最大のヒストリックカーイベント『グレートレース』に出場したスバル360が全行程を走りきり、日本車としては初めてとなる栄誉ある特別賞を二つも獲得。そして毎日のゴール地点で「可愛い!」と多くのアメリカ人の笑顔を作った。

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スバル360は来年還暦を迎える日本のファミリカーの始祖的存在として広く知られており、NHKの『プロジェクトX』でも取り上げられ視聴者の涙を誘ったモデル。戦争の荒廃から抜け出そうと日本全体で頑張る中、やっと本格的な工業製品を作ることが許された技術者達は小さい小さいクルマに日本の夢を載せたのである。

1958年に発売された時は連続して高速走行出来るようなテストコースもなく(高速道路自体無かった)、連日80km/h以上で、長い日だと600km走るような使い方など想定していなかったと思う。しかも排気量は360cc。グレートレースの主催者や他のエントラントの皆さんはクルマを見て「完走できないだろう」と思っていたという。

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実際レースが始まってみると、5000cc以上のV8エンジンを搭載するシボレーやフォードに代表される50年前のアメリカ車と比べスバル360は圧倒的な体力不足。同じ時期のアメリカ車が110km/h以上で走れる高速道路の長い登りなど70km/hすらやっと。箱根の峠を越えることを開発目標にしたクルマなのだから当然かもしれない。

しかも新車当時より過酷な状況で使われる上、50年前のクルマということで経年劣化していた部分も多く、スタートから7日目まではトラブルの連続となってしまう。日本で走行テストして問題無かった部分が、40度近い気温で10分も長い坂を登っていると壊れてしまうのだ。毎日のようにギリギリでゴールに辿り付き、連日深夜まで対応に追われる。

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ところが8日目にして全く壊れなくなった。弱かった点を全て本来の性能に戻せたのだろう。最後の2日間は驚くほどの”強さ”と信頼性を見せてくれる。設計速度の100km/hで巡航し、7日目まで全く追いつけなかったグレートレースの厳しい指定速度もクリア! 最後の2日間はアメリカ車に負けない成績を残すことが出来た。

スバル360は航空機の技術者によって作られた日本で最初の「現代的な乗用車」(それまではトラックの金属フレームに乗用車のボディを載せた構造)である。本来の調子を取り戻したら、予想もしていなかった「強さ」が出てきたことに驚く。加えてアメリカの人達が何より評価してくれたのは、毎日一生懸命走ってるスバル360と私たちの姿勢だったらしい。

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表彰式で突如名前を呼ばれ、文頭の通り『これまでで一番馬力の少ない完走車』と『敢闘賞』という二つのアワードを貰う。戦後の苦しい復興期、限られた条件しかない中、一生懸命クルマ作りをしてきた先達も喜んでくれることだろう。60年間で日本車は頑張った! もはやアメリカ車に体力でも負けていないことを誇りに思う。