日産セレナの自動ブレーキが稼働せず追突した?

現時点で世界最高級の自動ブレーキ性能を持つマツダCX-5も体験はダミーを使う

千葉県でプロパイロット付きの日産セレナが追突事故を起こした。国交省のリリースや報道を見ると「自動運転を過信しないで」という内容だけれど、状況からすれば自動運転でなく、今や急速に普及が始まっている自動ブレーキの問題だと思われる。報道を見る限り、ディーラーの営業担当が公道で他車を相手に自動ブレーキの試験をさせたということになる。

・国土交通省のリリース

そもそも自動運転(日産プロパイロット)と自動ブレーキは全く違う。自動運転の場合、加速も減速も普通の運転より穏やかに行われる。仮にプロパイロットの体験試乗をしていたなら、早めにブレーキが掛かるハズ。そして減速しなければ、普通にブレーキを踏むことで安全に止まれることだろう。ブレーキを掛けないよう指示したなら、信じられないミスだ。

ちなみに国土交通省のリリースを見ると「プロパイロットシステムを使用した走行中に」とある。プロパイロットの機能は、日産も宣伝している通り自動運転である。先行車に追従中、プロパイロットが稼働していれば、減速しないということは考えられない。おそらく先行車追従のプロパイロット機能は稼働していなかったと思う。

先行車をロックオンした追従モード中
先行車をロックオンした追従モード中

また、本来ならプロパイロットが稼働していなくても、自動ブレーキでカバー出来る可能性大。文字通り自動ブレーキは事故を避ける最後の手段。ただしギリギリのタイミングで稼働するため、止まれない可能性だって大きい。営業マンがブレーキを掛けないで、と言ったのなら、公道で自動ブレーキの体験をさせるという、一段と危険な行為。

この事故により営業マンを信じてハンドル握っていたドライバーが『過失運転致傷容疑』で書類送検されたのは全く理解出来ない。果たしてなぜ事故が起きたか? 考えられることは一つ。そもそも事故を起こしたセレナが自動停止出来るのは40km/h以下に限られる。プロパイロットを40km/h以上にセットして走行中、先方に停止車両があったとしよう。

ここで営業マンが「ブレーキを掛けないで」と言いそれを守れば、そもそもプロパイロットは停止している先行車を認識してブレーキを掛ける制御は行っていない。そして自動ブレーキも40km/h以上だと停止出来ない。どちらも車両の性能を超えてしまっており、プロパイロットや自動ブレーキは稼働しなくて当たり前である。しかも事故は雨天の夜間という厳しい状況。

50km/h以上出ていれば激しく追突したことだろう。啓蒙するなら自動運転の過信ではなく、自動ブレーキの性能に差があるという点だと思う。未だに大半の軽自動車は25km/h以下でしか停止出来ない。天気や明るさによる性能差も大。ユーザーは自分のクルマに付いている自動ブレーキの性能を知っておくべきだ。自動ブレーキの過信こそ危険である。