ホンダF1とトヨタWRCの明暗

サーキットを使う先端技術で競われるF1と、一般道を舞台に開催される世界で最も観客数の多いWRCはモータースポーツのTOPカテゴリーである。御存知の通り2015年からホンダがF1にエンジン供給を開始。トヨタは18年間の休止を経て今年WRCに戻ってきた。そして昨日、F1上海GPとWRCフランスが開催されている。結果を見ると見事な明暗となった。

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今年のホンダF1は開幕前のテストからトラブルが相次いだ。エンジン単体で開発試験をしていた時は「いけるだろう」と思われていたのに、マクラーレンの車体と組み合わせてみたら激しい振動(振動の周波数が重なる共振という現象)に見舞われ様々な部位に不具合を出してしまう。開幕戦のオーストラリアGPまでに行った対策も抜本的なものでなかったらしく苦戦。

さらに上海GPでは2台揃ってメカニカルトラブルに見舞われリタイア。しかもレース中の最高速度がTOPより27km/hも遅い。成績もさることながらレースの楽しみを伝えてくれるメディアとの関係が悪いようで基本的に情報極めて少なく、ネガティブな記事ばかり流れてしまっている状態。何のために高額な予算をつぎ込んでF1をやっているのか全く解らない。

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方やトヨタWRCは素晴らしいスタートダッシュと言って良い。開発準備の遅れが指摘されていたものの、開幕戦のモンテカルロで全くの新型車ながら驚きの2位! 2戦目のスウェーデンはライバルの脱落もあって優勝! 3戦目のメキシコこそデータ不足のためオーバーヒートに見舞われたが、それでも6位入賞。WRCフランスは4位と18年のブランクを考えたら上々。

今後の展望も明暗分かれる。ホンダF1は早くて第5戦のスペインGPと言われる新型パワーユニットの投入まで、基本的に課題を抱えたまま戦わなければならない。トヨタWRCを見ると、完全なテスト不足で実力を発揮出来ていないが、ラリー中にセッティングを変えるだけでポンとタイムアップするなど「伸び代」を感じさせる。ラリー毎に速くなって行くだろう。

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トヨタWRCは今のところメディアとの関係も良好。エースドライバーであるヤリ-マティ・ラトバラの人柄の良さもあり、WRCファンから大歓迎されている。そればかりかヨーロッパに於けるトヨタ車の販売状況まで明くなってきた。WRCフランスでは豊田章男社長が現地に出向き、メディアや観客から「あの人はカーガイだね!」(クルマ好き、という意味)と高い評価を受けている。

ホンダF1とトヨタWRCの違いは、会社TOPの顔に出ている気がする。F1を語るときのホンダの八郷社長の顔を見るとあまり楽しそうではない。対照的なのが豊田社長で、WRCフランスでは山の中のステージまで見に行き旗振って応援するほどラリーを楽しんでいる。モータースポーツは「夢」や「楽しさ」の延長戦上にある。ホンダ自身がF1を楽しまない限り、明るい雰囲気は出てこないだろう。