日本でアメリカ車は売れるか? 新型キャデラックに乗ってみた

日本でアメリカ車は売れるだろうか? 結論から書くと「アメリカ人の好みと日本人の好みは違うため基本的に難しい」と思う。トヨタやホンダのアメリカ向けモデルをみれば解る。現在もカムリやアコードというアメリカでのベストセラーカーを日本国内で販売しているけれど、トヨタを持ってしても毎月数百台しか売れない。

ホンダの場合、アメリカで生産したモデルを何回か日本に持ってきて販売したものの、全て失敗。今年の夏にアメリカ向けのシビックを日本で販売するというが、これまた厳しいと予想される。ちなみに日本とヨーロッパは使い方がデザインの好みが似ている部分もあるため、性能の良いベンツやBMWなどは日本でも売れている。

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ただヨーロッパ車であっても、アメリカのGMの傘下であるオペルや、ヨーロッパフォードのクルマは日本で受け入れられない。オペルやヨーロッパフォード、デザインが日本人向けでなく、性能もベンツやBMWより低いからだ。高額で販売するなら、性能も良くないとならない。そんなことから日本で売れる輸入車は限られると思う。

ここまでは「正論」である。トランプ大統領は「理由なんか聞かない。とにかく売れ」と言うだろう。そして日本とアメリカの関係を考えれば、無理難題を承知で言うことを聞かなければならない。「トランプ大統領にモンクを言え!」というのは日米関係やビジネスを全く知らない、ある意味、浮き世離れした幸せな人達である。

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長い前置きになったが、おそらく日本で売らなければならなくなるだろう新型キャデラック『CT6』に試乗してみた。CT6はレクサスLSやベンツSクラス、BMW7シリーズと同じクラスに属しており、全長5184mm×全幅1880mmという、このクラスの標準的なサイズ。日本仕様のエンジンは3600ccと、これまた普通。

試乗してみたら、一般的な「アメリカ車」のイメージと全く違う。伝統的に「アメリカ車の中でもキャデラックだけは別格に良い」と言われているとおり、乗り心地などレクサスLSを相手にしないほど滑らか。インテリアのクオリティや、BOSEのオーディオだって素晴らしい。積極的に推奨したいほどの仕上がりである。

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価格は998万円で、同じ装備内容のレクサスLS460より安い。ただベンツS300hの安いグレードが998万円で買えることもあり、多くの人はキャデラックよりベンツを選んでいる。ここで注意すべきは、日本で売られているキャデラックのグレードだ。驚くことにアメリカ本国だと最上級の超豪華仕様なのだった。

同じCT6でも、ベンツのS300hに相当する装備内容を持つ265馬力の2000ccターボ仕様というのがあり、こちらは自動ブレーキなど安全装備を全て装備して685万円。642万円のトヨタ・マジェスタと同じ程度の価格でいながら、圧倒的に高級感がある。エンジンも2000ccだから自動車税だって年間3万9500円と普通。

トランプ大統領の就任までは「アメリカ車が日本で売れない理由」を考え、納得出来れば許された。今や「売れる方法」を考えなければならない。日本の世論を見ると皆さん前者のまま。幸い、アメリカで生産しているクルマの中にも「売れそうなモデル」がいくつかある。アメリカで生産しているドイツ車やキャンピングカーなども安い。

日本政府は「関税などハンデはない」と公言しているのだから、非関税障壁を全て取っ払ってアメリカでの販売価格+輸送コストでアメリカのクルマを日本で売れるようにすべきだと思う。「アメリカ車を買うのがお国のため」だというなら、買う人もたくさんいることだろう。繰り返すが、とても良いクルマである。

今や無くなってしまったトヨタ・セルシオと同じ600万円台の高級セダンとして考えれば販売台数だって期待出来るだろう。ちなみに左ハンドルながら、日本で大柄なクルマに乗る場合、左に寄せやすいというメリットがある。運転してみると解るけれど、左ハンドルはすぐ慣れるし危険性が高いと言うことも無い。