ホンダは誰もが「失敗すると思う」と言うアメリカ仕様のシビックをなぜ日本で売るのか?

アメリカ仕様のシビック4ドア

自動車業界の誰に聞いても「失敗すると思います」と答えるアメリカ市場向けに開発したシビックを、なぜ日本で販売するのだろうか? 興味深いことに売れないと解っている車種を販売するのは始めてではない。昨年販売された『ジェイド』や、一昨年の『グレイス』もホンダ社員の大半が「日本で売れるワケない」と考えていたという。

ジェイドは中国市場向けに企画された
ジェイドは中国市場向けに企画された

私もジェイドとグレイス共にデザインとスペック、価格を見た途端「売れない」と思い、厳しい紹介記事を書いた。ちなみにジェイドは中国市場向けに開発した車種である。3列シートをアピールするものの、3列目のシートに座ると足はヒザを抱える感じになり、頭が天井にぶつかってしまうくらい狭い。それでいて高価。

新興国向けに開発されたグレイス
新興国向けに開発されたグレイス

グレイスもタイなど新興国向けに開発されたフィットの4ドアセダンバージョンで、しかも200万円を軽く超える。このクラスは日本だとトヨタ車しか売れないというのが業界の常識。両車種、本来なら海外で生産されるのだけれど、多額の投資を行い日本の工場に生産ラインを作った。なのに全く売れず。

アメリカでは好評のデザイン
アメリカでは好評のデザイン

そればかりはジェイドなど大量の在庫を抱えてしまい、半年以上屋外に置かれた状態になってしまった。基本的に日本で需要がない車種とあり、今後も売れる展望は皆無に近く、もちろん巨額な赤字である。ホンダ経営陣も「手痛い失敗」と判断しているようだ。なのに再びシビックで失敗を繰り返そうとしている。

エンジンは1500ccターボなど
エンジンは1500ccターボなど

日本に導入しようとしているアメリカ向けシビックは、アメリカ人からすれば「素晴らしいクルマ」だと思う。そもそもホンダのブランドイメージが高く、デザインもアメリカ人の好みにピッタリである。けれどアメリカ向けに作った中型サイズの日本車が日本で売れたことはない。好みが全く違うからだ。

高級車や小型車であれば世界的に共通のデザインや商品性が通用する。けれど中型車は日本とアメリカと全く好みが違う。アメリカ仕様のシビックも日本人に受け入れられないこと間違いなし。しかも価格は250万円を軽く超えてくることだろう。加えて本来日本で作るクルマでないため、多額の投資が必要。

文頭に戻る。売れないとハッキリしている車種を、なぜ日本に導入するのか20人程度のホンダ関係者に聞いてみた。すると皆さん口を揃えて「私は売れないと思うが止められない」。ここがホンダの大きな問題点なのかもしれない。