軽自動車の急速な販売台数減でダイハツとスズキが突如窮地に陥った

軽自動車の急速な販売台数減でダイハツとスズキが突如窮地に陥っている。

遠からず自動車販売に於けるシェアは50%に達するのでは、と言われたほど好調だった軽自動車が失速し、今や軽自動車バブルの崩壊と言ってもよい状況。例えばTVでたくさんCFを流しているダイハツの『ウェイク』(室内の広さを強く訴求している)の2015年12月の販売台数を見ると2167台で、前年同月比なんと23,2%! オープンスポーツカーの『コペン』も413台しか売れておらず、前年同月比66,3%。

2015年12月の販売台数

ダイハツの場合、深刻なのがデビューしたばかりの『キャスト』である。11月に9172台。本来ならフル生産に入る12月は7289台とすでに落ち始めてしまった。加えてキャストと同じようなキャラを持つ『ムーヴ』は看板車種にも関わらず前年同月比42,2%。もはや総崩れと言ってよい状況。ダイハツ全体の軽乗用車販売台数は、キャストという新型車を出したのに前年同月比61,9%という厳しさ。

ダイハツ同様スズキも厳しい。アルト、ワゴンR、スペーシア、ハスラーという4本柱すべて低迷。スズキの軽自動車を代表する存在と言ってよいワゴンRが前年同月比38,8%なのだ。スズキ全体の軽乗用車販売台数は前年同月比48%と半減してしまった。自動車産業の場合、工場稼働率など考えれば20%減でも深刻。しかも先が見えない。リーマンショックの時ですら半減したのは限られた期間である。

ダイハツは国内販売がメイン。欧米でクルマを売っていないし、東南アジアだってトヨタの下請けを細々やっている程度。スズキもインドで順調ながら、東南アジア戦略は立て直しの最中。アメリカから撤退し、欧州もVWとのアライアンスを期待できないため、これまた立て直しが必要。スズキは抜本的な商品戦略の見直しが必要か。ダイハツの場合、トヨタにすがるしかなくなるだろう。

ちなみに同じ軽乗用車でもホンダの12月は前年同月比82,5%。日産85,9%で、良くはないけれど2015年4月からの軽自動車税値上げの余波を考えれば納得できる数字。ダイハツとスズキも20%減くらいは考えていたと思う。なぜダイハツとスズキは売れ行きを落としたのか? 最大の要因はブランドイメージをまったく作ろうとしなかった点にあるといわれる。自動車の原点を見失ってしまった。

自動車の原点は古今東西、性能であり信頼性であり文化(趣味性)だ。ダイハツの親会社であるトヨタを見ても、社長自ら「良いクルマや楽しいクルマを作ろう!」と折に触れて発言しているのに対し、ダイハツはクルマ好きへのアピールをまったく行っていない。発表会や試乗会すら行わないというのだから徹底している。スズキにも言えることながら、モータースポーツへの投資もしない。

「クルマは道具」だと考えているのだろう。夢がない、と言い換えてもよい。コペンなどスポーツカーの形をしているのに、実用車と同じ安価なドラムブレーキを使う。ユーザーも道具だと思って購入するから、壊れるまで使い続ける。すでに道具としての軽自動車は行き渡った。今後「壊れたら乗り換える」という実需だけになっていく。軽自動車生産能力は過多は、当面続くだろう。