遅すぎた自動ブレーキ割引の導入開始

12月31日の読売新聞は「損保会社は自動ブレーキ割引を始める方針」というニュースを伝えた。この件、自動ブレーキを認可する前から論議されており、むしろ今まで割引の導入をしていないことが不思議。ボルボは日本で自動ブレーキを販売する際、欧州から保険の専門家など呼び、事故防止効果データを解析して認可を迫ったのだった。

なぜ今まで割引をしなかったのか? 保険会社からすれば、事故防止効果あったとしても割引を導入すれば保険料収入が減ってしまう。業界全体で無視を決め込めばいいだけ。当然の如く業界は「割引不要」と判断。2009年の自動ブレーキ登場後も、無視していたのである。一転して自動ブレーキ割引の導入を受け入れたのは、トヨタのおかげだ。

トヨタは『あいおいニッセイ同和損保』という自動車保険会社に出資している。トヨタが自動ブレーキ付きを販売してなければ割引システムを導入する意味ない。逆説的に「自動ブレーキ付きを出してきたら当然の如く割引を始めるだろう」と言われてきた。あいおいニッセイ同和損保が割引を打ち出せば、当然ながら他の損保会社も黙ってない。

そのトヨタ、2015年春から続々と自動ブレーキ装着車をラインナップし始めた。2016年中に大半の車種で自動ブレーキを選べるようになる。

といった経緯で自動ブレーキ割引が始まるのだけれど、問題も残る。自動ブレーキの性能は横並びで無い。なかでも厳しいのが、安価な赤外線レーザーをセンサーに使った簡易式。車速31km/hになると自動ブレーキのスイッチ(実際は機能停止になる)が自動的に切れてしまう。付いていても全く意味なし。

加えて安定して停止出来る速度も、10~20km/h程度までに限定されてしまう。こんな気休めのような自動ブレーキと、トヨタの新世代レーダー+カメラ式(実力値で車速50km/hから停止可能。夜間を除き30km/hまでなら歩行者も探知)を一緒にしたらおかしい。そこで性能差により割引割合を変えることを以前から論議していた。

これまたトヨタが基準になることは言うまでも無い。おそらくトヨタの普及型自動ブレーキ(赤外線レーザー+カメラ)の性能を基準とし10%割引。トヨタの高機能型自動ブレーキ(レーダー+カメラ)は15%引き。気休め効果の簡易型赤外線レーザー単独のシステムで5%といったあたりが落としどころになると予想する。

自動車アセスメントが行った自動ブレーキの試験結果

割引率の差は、JNCAPの性能テストを根拠にしてくることだろう。実際、メーカーや車種によるバラ付きは同じ自動ブレーキと思えないほど顕著。導入時期は読売新聞によると2017年1月になるそうな。これで悲惨な事故に対する極めて大きい防止効果を持つ高性能自動ブレーキの普及が一気に進むと考える。