完全自動運転の実現困難に

ハンドルの無い完全自動運転車は当面実現出来なくなりそうだ。グーグルがドライバー無しの完全自動運転車を開発し実証試験を開始するなど、そう遠くない将来、目的地を指示するだけで行きたい場所に行ける完全自動運転車が登場すると思っていた人も多いだろう。しかしカリフォルニア州は、自動運転を認めない法案を提出したのである。

法案を見ると、厳密に言えば自動運転を禁止しているのでない。「走らせるときは必ず運転免許証を持っている人が運転席に座ること」を義務づけようとしているのだった。この法案、もう少し拡大解釈すると、運転席に座ったドライバーは緊急事態の際、運転を代わることが求められる。「最後の判断は機械に任せないように」ということだと思う。

この点、以前から論議されていたこと。「ブレーキは間に合わない。直進してもハンドルを切っても必ず歩行者とぶつかる」というようなケースをイメージして欲しい。人間がハンドル握っていれば、どちらを判断するかその時の偶然と言ってよかろう。「神様が決めた運命」と思うしか無い。そして同じことが相手側にも言える。

「ドライバーが直進を選択したら若くて反射神経の良い歩行者だったので避けた」みたいなケースもあるからだ。もっと言えばドライバーの反射神経や認知能力が高く、一瞬にして安全性の高い方を選べるかもしれない。一方、自動運転君は単純に二者択一してハンドル切る方を選び、そちらは身体能力低い人でクルマの接近に気づかずぶつかってしまった、としよう。

運転者が人間なら被害者も諦められる。けれど機械だったらどうか。いろんな意味で納得出来ないことだろう。はたまた機械の調子が悪く、本来なら止まる場所で止まらなかったどうか? クルマに乗っている人はなすすべもなく、歩行者をハネるしかない。こういった事象について十分論議は出来ていない。「だったら当面止めましょう」ということなのだ。

日本も同じ。2020年に自動運転をすると首相が公言し、それを実現しようという動きも出てきた。ハンドルの無いクルマのコンセプトカーを提案する企業も出ている。しかしカリフォルニア州の法案が決まれば、世界的に見直しの動きも出てくることだろう。ドライバー無しの自動運転は難しくなると思う。ただ自動運転の技術は事故防止に役立つ。技術開発は大いにすすめるべきだ。