スズキ、VWとの提携解消提訴で最低2400億円を失う

8月29日に国際仲裁裁判所が「VWはスズキの株式を売却すべき」という裁定を出した。多くのメディアは「スズキの実質的な勝訴」と伝えているが、果たしてそうだろうか? 実際は、現時点でスズキがVW側に支払わなければならない金額も決まっていないのである。

というのもスズキのリリースを見ると「仲裁廷は、VWが主張した当社の契約違反の一部を認め、かかる契約違反に基づく損害の有無及び額について引き続き仲裁において審議することを示しました」。つまりスズキが契約違反を認め、その点についての賠償責任を負うと言ったから、国際仲裁裁判所も「いいでしょう」。

どれだけの損額をVWに与えたかは、今後の審議によって決まると言うことである。欧州の事情通によれば「提携前に決まっていたVWの依頼をスズキはほとんど突っぱねた」とのこと。例えばインドネシアなど新興国関係らしい。契約違反によりスズキがVWに与えた損害はかなり大きいという。

加えてVWはスズキとの提携解消により少なくとも2400億円という莫大な利益を上げられることになった。2009年にスズキがVWと資本提携をした際に受け取った19,9%分の株価は約2200億円である。当時のスズキはGMとの資本関係を切られるなど様々な課題を抱えていたこともあり、株価が低迷していたからだ。

一方、直近のスズキの株価はリーマンショックから完全に回復した上、円安という追い風を受け4600億円(19,9%の現在の株価)にもなっている。スズキは提携解消のため、VWから19,9%の株式を引き取らなければならない。仮に現在の株価で支払うとしても、2400億円の差益になるということだ。

仮にスズキがVWに株式を譲らず自社で持っていたら2400億円は自社のものだったということ。いずれにしろVWとの提携解消で失ったダメージはスズキの方がはるかに大きい。当時の交渉担当者の責任は非常に大きいと思われる。果たしてスズキがVWに与えた損害の見積もりはどのくらいになるのだろうか。