日産のル・マン24参戦車両は常識外れのFFか?

日産のル・マン参戦車両の概要が発表された。驚くべきことに3リッターV6ツインターボエンジンをフロントに搭載し、フロントタイヤを駆動するという。つまりFFである。多くのメディアは「本当か? 記載ミスや誤訳ではないか」と驚いている。早速日産に問い合わせてみたら、キッパリと「FFです!」。何と! ル・マンのTOPカテゴリーの歴史始まって以来のFFだ。

しかし。今のル・マンカーはハイブリッド。しかもトヨタを見ると前後にモーターを装備した4WDである。日産の発表を見ると後輪の駆動システムについて何も書いていない。この点も日産に聞いてみたら「後輪については発表していません」。加えてエネルギー回生量は最大の8MJ(1ラップ)を選択しているという。この数字もまたFFだと考えられない。

V6ツインターボエンジンに8MJものモーターパワーを上乗せしたらコーナーの立ち上がりでホイールスピンするばかり。ここでヒントになるのが『GT-R』という車名。御存知の通りGT-Rは4WDである。日産のル・マンカーだけFFになるなど考えられない。ということでメディアの皆さんが騒ぐようなFFではないと思う。前輪をエンジン。後輪はモーター駆動だろう。

具体的な制御方法は、コーナーの立ち上がりで後輪モーターをフルに使う。一定の速度になったら前輪駆動で十分な駆動性能を確保出来るためFFに。後輪をモーター(発電機としても使える)だけにしておけば、前輪でフルパワー掛けながら、後輪は充電出来るのだった。つまり普通のクルマだとアクセルコントロールしている時は、アクセル全開のまま充電出来るという寸法。

このコンセプト、今までのレーシングカーには無かった。1ラップ常にアクセルは全開に近い状態にしておき、ブレーキ時だけで無くハーフスロットルの時もアクセル全開状態で後輪モーターを発電機として使う。これなら様々な状況でバッテリーを充電出来ることだろう。つまり今までのル・マンカーと全く違う制御をしようしているワケ。このあたりが日産の面白い所。

モーターや発電機、インバーター、電池の技術ノウハウは、おそらく日産が世界のTOPを突っ走っている。もしかするとポルシェやアウディ、トヨタを驚かせるような速さを見せてくれるかもしれない。今年のル・マン24が楽しみになってきた。日産のル・マンカー、続報入り次第、レポートします。

追記・写真が数点出回っている。リアはドライブシャフトが付いており、左右別個の薄型モーターに繋がっているようだ。これなら新型NSXのようなトルクベクタリング(戦車の旋回と同じく、左右輪の回転差を付けることにより曲がるチカラを出す)も可能。また、8MJという容量を考えればフロントにもモーター/発電機が付くことは間違いない。