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ファストリが「UNIQLO Pay」の商標を出願、フィンテックにチャンスあり

松下久美ファッションビジネス・ジャーナリスト、クミコム代表
特許情報プラットフォーム「J-PlatPat」で公報された文献より

 電子決済サービスの広がりに伴い、キャッシュレス化が進んでいる。スマホを活用してスマート決済が行えるため、利用者にとっても利便性が高く、小売業や飲食業などにとってもレジ締め作業が効率化され残業時間の削減などにもつながると期待されている。

 そんな中、「ユニクロ」(UNIQLO)を擁するファーストリテイリングが「UNIQLO Pay」のリリースに向けて動いていることがわかった。商標を特許庁に7月1日に出願し、16日に公開された。

 「〇〇ペイ」については、「Apple Pay(アップルペイ)」「楽天ペイ」「LINE Pay(ラインペイ)」「Origami Pay(オリガミペイ)」などが先行してきたが、ソフトバンクとヤフーの共同出資会社による「PayPay(ペイペイ)」が昨年12月に100億円還元キャンペーンを打ち出してから急速に認知度を広げ、利用者が拡大している。

 流通小売り関係では、フリマアプリのメルカリによる「merpay(メルペイ)」を皮切りに、ファミリーマートの「FamiPay(ファミペイ)」、不正利用被害でつまずいたセブン&アイの「7pay(セブンペイ)」などがすでにサービスを提供している。

 ファーストリテイリングの2018年度の売上収益は連結で2兆1300億円、世界22カ国・地域に3600店舗以上を構えている。国内の「ユニクロ」の売上げだけでも8647億円ある。今年10月にはインドやベトナムへの進出も控えている。売上高5兆円と世界ナンバーワンのアパレル専門店を目指す中で、利便性の向上だけでなく、新たな収益の柱としてフィンテック事業にもビジネスチャンスがありそうだ。

ファッションビジネス・ジャーナリスト、クミコム代表

「日本繊維新聞」の小売り・流通記者、「WWDジャパン」の編集記者、デスク、シニアエディターとして、20年以上にわたり、ファッション企業の経営や戦略などを取材・執筆。「ザラ」「H&M」「ユニクロ」などのグローバルSPA企業や、アダストリア、ストライプインターナショナル、バロックジャパンリミテッド、マッシュホールディングスなどの国内有力企業、「ユナイテッドアローズ」「ビームス」を筆頭としたセレクトショップの他、百貨店やファッションビルも担当。TGCの愛称で知られる「東京ガールズコレクション」の特別番組では解説を担当。2017年に独立。著書に「ユニクロ進化論」(ビジネス社)。

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