北東アジアの平和を脅かす10のリスク(2020年版)

北東アジアの平和への最大の不安は「北朝鮮問題」

 私たちは1月21日に、北東アジアの平和維持し、将来の持続的な平和を目指すための「アジア平和会議」を立ち上げました。

 この会議に先立って、「北東アジアの平和を脅かす10のリスク(2020年版)」を公表しました。

 この評価は、言論NPOの活動に参加する有識者307人のアンケート結果(4点満点)から、北東アジアの平和への脅威を12項目抽出した上で、その12項目について外交・安全保障の専門家24氏に、「北東アジアの平和に与えるインパクト(3点満点)」「この地域に平和の困難や障害として表面化する可能性(3点満点)」の2つの軸で評価してもらい、その結果を集計したものです(合計10点満点)。

 ※詳細な評価基準は次の各項目をご覧ください。

 その結果、この地域の平和を脅かす最も高いリスクとして「米朝非核化交渉の決裂と、核保有国・北朝鮮の行動」がトップとなり、以下、「米中間の通商やデジタル覇権をめぐる対立の展開」「米国大統領選の行方」が続きました。

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評価方法1:有識者アンケートによる評価

 まず調査の第一段階として、言論NPOの活動に参加する有識者2000人を対象にアンケート調査を実施し、回答を得た307人の調査結果を集計しました。

 この中で最も多くの有識者がリスクと考えたのは、「米国と北朝鮮の非核化交渉の進展」(30.6%)で3割を超えました。「北朝鮮が核保有国として行動すること」と「米国大統領選の行方」がいずれも27.0%で続き、「習近平主席の日本訪問と今後の日中関係」(22.5%)、「日本と韓国の対立」(20.5%)が2割を超えるという結果となりました。

 一方、外交・安全保障の専門家による評価で多くの専門家が2020年に表面化するリスクに挙げた南シナ海問題については、「南シナ海での中国の行動と増大する中国の軍事力」(16.6%)となったように、1割台にとどまっています。

 この有識者アンケートの結果から、第2段階目の評価となる専門家による点数評価の対象とする12のリスク項目を抽出しました。

【北東アジアの平和におけるリスク】

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有識者アンケートの結果、12のリスクを抽出

 12のリスクの順位集計においては、下記評価基準の通り、回答者の30%以上がリスクだと答えた項目に4点、20%以上に3点、10%以上に2点、5%以上に1点を配点しました。なお、今回評価を行った12のリスク項目のうち、1つのリスク項目に2つ以上の有識者アンケートの選択肢が該当する場合は、関連する選択肢への回答を足し合わせた数値によって配点を行いました。

 その結果、リスク項目「米朝非核化交渉の停滞と、核保有国・北朝鮮の行動」では、「米国と北朝鮮の非核化交渉の進展」(30.6%)と「北朝鮮が核保有国として行動すること」(27.0%)への回答を合計すると30%を超えたため4点を配点しました。続いて、リスク項目「米中間の通商やデジタル覇権を巡る対立」で、「米中経済対立の展開」(17.9%)と「米国のデジタル面での中国との覇権争いと日本の立ち位置」(16.3%)の合計34.2%で、この2項目が有識者アンケートによる評価では4点となり、日本の多くの有識者層が北朝鮮と米中対立を最もリスクだと考えていることが明らかになりました。

 ※1「米朝非核化交渉の展開と、核保有国・北朝鮮の行動」は、有識者アンケートの「1. 北朝鮮が核保有国として行動すること」と「2. 米国と北朝鮮の非核化交渉の展開」を合計

 ※2「米中間の通商やデジタル覇権をめぐる対立」は、有識者アンケートの「9. 米中経済対立の展開」と「10. 米国のデジタル面での中国との覇権争いと日本の立ち位置」を合計

 ※3「領土・領海や、宇宙・サイバーなど新領域における危機管理メカニズムの未整備」は、有識者アンケートの選択肢「東シナ海での偶発的な事故」と「過熱するサイバー攻撃や宇宙等の新領域のガバナンス欠如」を合計

 ※4「核不拡散や、INF失効後の今後」は、有識者アンケートの「核抑止や核拡散体制の今後」と「INF(中距離核戦力)全廃条約の失効と中国のミサイル能力」を合計

【評価基準】

   4点:リスクだと考えている人が30%以上

   3点:リスクだと考えている人が20%以上

   2点:リスクだと考えている人が10%以上

   1点:リスクだと考えている人が5%以上

   0点:リスクだと考えている人が5%未満

評価方法2:専門家による2つの評価、平和へのインパクトと困難の可能性

 次に、外交・安全保障の専門家24人に有識者アンケートで浮かび上がってきた12のリスク項目に対して、(1)各リスクが北東アジアの平和に与える影響、(2)この地域の平和を脅かす事象として表面化する可能性の2つの軸から評価いただきました。

1. 平和へのインパクト

 まず、各リスクが北東アジアの平和に与える影響を3点満点で評価いただいたところ、最も大きな影響を与えるリスクは「米朝非核化交渉の展開と、核保有国・北朝鮮の行動」(平均:2.46点)でした。続く、「南シナ海での中国の行動と増大する中国の軍事力」(平均:2.04点)までが全回答者の平均で2点を超え、外交・安全保障専門家が最も大きなリスクとして意識していることが明らかになりました。

【北東アジアの平和に与えるインパクト評価基準】

   3点 事態が、この地域の軍事紛争を引き起こしうる状況 HIGH(高)

   2点 事態が、この地域の緊張感を高め、危機管理を必要とする状況 MODERATE(中)

   1点 事態が、この地域の平和に影響を及ぼす懸念がある状況、LOW(小)

   0点 平和の問題とは直接関係ないか、あったとしても影響は軽微

2. 困難や障害として表面化する可能性

 続いて、外交・安全保障の専門家24人に、2020年にこの地域の平和を脅かす事象として表面化する可能性について、各リスクを3点満点で評価してもらったところ、「米中間の通商やデジタル覇権をめぐる対立」(2.42点)が最も高い点数となり、「すでに問題が発生している(3点)」と評価した専門家が全体の実に3分の2に達しました。その他「南シナ海での中国の行動と増大する中国の軍事力」(2.21点)が2点を超え、専門家間ではこの2つが2020年内に問題が表面化する可能性が高いリスクと考えられています。

【この地域に平和の困難や障害として表面化する可能性評価基準】

   3点 すでに問題が発生している

   2点 2020年内に発生する可能性が高い

   1点 2020年に発生するかは半々

   0点 2020年に発生する可能性は低い

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